(CNN) 元ビートルズのジョン・レノンさんを殺害した罪で服役中のマーク・デービッド・チャップマン受刑者が自分を逮捕した警官に送っていた手紙が、このほどインターネット上で売りに出された。同受刑者は手紙の中で、警官に敬意と親近感を示していた。
手紙を受け取っていたのは、当時ニューヨーク市警の警官だったスティーブン・スピロさん(66)。レノンさんが殺害された1980年12月8日にチャップマン受刑者を逮捕し、その後数時間一緒にいた。
スピロさんには83年1月から5月にかけ、チャップマン受刑者から計4通の手紙が届いた。どれもタイプされ、本人の署名がある。スピロさんも何度か返事を書いたが、手紙は間もなく途絶えたという。警官として逮捕した相手から手紙が着たのはこの時だけだったと、スピロさんは振り返る。
チャップマン受刑者は手紙の中で、スピロさんに親しみを込めて語りかけ、「ニューヨークで最高の警官だ」と称賛した。また、逮捕時に持っていた本「ライ麦畑でつかまえて」が犯行声明の代わりになると主張し、スピロさんにも読んでほしいと繰り返した。
犯行の目的を果たすには、相手がレノンさんでなく別の人でもよかったとも書いている。
スピロさんは18日、サイン入りの記念品や歴史的文書を扱うオークション・サイト「モーメンツ・イン・タイム」にこの4通を出品。価格は7万5000ドル(約700万円)に設定された。スピロさんは収益の一部を、女性の保護施設に寄付すると話している。
同サイトでは、レノンさんが殺される数時間前、チャップマン受刑者に頼まれてサインしていたアルバム「ダブル・ファンタジー」も、65万ドルで出品された。
チャップマン受刑者は禁錮20年から終身刑を言い渡されて服役中。昨年8月まで7回にわたって仮釈放申請を出したが、いずれも却下されている。