(CNN) 宇宙のかなたから時速2万8000キロのスピードで近づいている小惑星が米国時間15日(日本時間16日未明)に地球に最接近する。ただし、米航空宇宙局(NASA)の観測によれば、地球に衝突する恐れはない。
この小惑星は1年近く前に発見され、「2012DA14」と名付けられた。NASAのドン・イェオマンズ博士によれば、軌道は正確に把握できている。地球の引力の影響でカーブを描き、地表から約2万7700キロと通信・放送衛星より低い位置まで接近するものの、落下することなく南から北へ通過する。秒速7.8キロの高速で通過する見通し。
東欧やアジア、オーストラリアからはアマチュア望遠鏡で観測できる見通し。サイズが「アメリカンフットボールのフィールドの約半分」と小さいため、肉眼では見えない。NASAは前後の数日間、レーダーで小惑星の組成などを詳しく調べる予定だ。
NASAによると、地球の近辺にはこのようなサイズの小惑星が約50万個もあるとみられるが、実際に観測されているのはその1%に満たない。2012DA14も、20年前の技術では発見できなかった。今では100年後の動きまで予測できるという。
衝突のリスクを予測するだけでなく、小惑星を資源として活用するのも研究目的のひとつだ。金属などの成分を採取して、地球上や宇宙ステーションで使うことができるかもしれない。
NASAでは、近くの天体を地球周回軌道に乗せてから研究や資源採取を進めるという方法を検討している。資源の採取や販売に名乗りを上げている新興企業もある。
このサイズの小惑星が、これほど近くを通過するのは40年に一度、衝突するのは1200年に一度とされる。仮に衝突したとしても、地球が滅亡するほどの衝撃ではないと、イェオマンズ博士は説明する。
5万年前、金属でできた同等のサイズの小惑星が衝突した。その跡が米アリゾナ州の大隕石孔(いんせきこう)だ。周囲80キロの範囲が破壊されたとみられる。岩石の塊とされる2012DA14の破壊力は、これよりはるかに小さいはずだという。
1908年には、似たタイプの小惑星がロシア・ツングースカ上空で爆発し、2000平方キロ余りにわたって樹木がなぎ倒された。確かに地球滅亡には至らなかったものの、近くに居合わせたくはない災難だ。