アメフト選手の健康に関する大規模研究、ハーバード大に依頼へ

2013.01.30 Wed posted at 17:51 JST

(CNN) アメリカンフットボールの選手が長年の競技生活の中で脳などに障害を負うケースが、近年論議を呼んでいる。米ナショナル・プロフットボールリーグ選手協会(NFLPA)は近く、選手のけがや病気に関する大規模な研究を米ハーバード大学に依頼する方針だ。

CNNが入手した提案書によると、リーグの収益から1億ドル(約90億円)を出資し、10年間かけて選手のけがや病気の診断、治療、予防方法を探る。2月3日の王者決定戦「スーパーボウル」を前にNFLPAが31日に開く記者会見で、正式に発表する予定だ。

まとめ役となる研究者のひとり、ハーバード大医学部のリー・ナドラー博士によると、亡くなった元選手の脳などを調べる研究はこれまでもあったが、現役選手らを対象とする本格的な研究は初めて。

今回の研究では脳だけでなく心身のあらゆる側面に目を向け、選手の生涯を通した健康状態を追跡するのが特徴だという。アメフト選手は引退までに、慢性的な痛みやリウマチ、関節の損傷、うつ病、糖尿病、心臓疾患、脳しんとうに関連した認知症など、さまざまな症状を示すことがある。

研究計画によると、まず全米の現役選手と引退した元選手の計1000人を対象に、基礎研究を行う。

心機能や関節の異常を調べ、社会心裡テストを実施し、競技歴や外傷歴を詳細に尋ねる。その結果に基づいて選手を健康状態の良い順に並べ、上位100人と下位100人について、さらに何年間か研究を続けるという。ハーバード大の科学者数百人と、外部の研究者らも参加する予定だ。

テーマの候補としては、頭部に外傷を負う危険性の高い選手を見分ける方法や、ひざのじん帯を再生する技術、新薬や新型ヘルメットによるけが防止、負傷した選手の扱いを巡る倫理的問題などが挙がっている。

出資額などの最終決定はスーパーボウルの後になる見通し。NFLPAの報道担当者、ジョージ・アタラ氏は「ひざのじん帯か精神的健康か脳しんとうか、どれかひとつの問題でも解決策を見つけることができたら、研究は成功といえるだろう」と話している。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。