(CNN) 政治的混乱が続くエジプトで、ムルシ大統領の夜間外出禁止令を無視して反政府デモが続けられ、シシ国防相は29日、「このままさまざまな政治勢力の間で衝突が続けば、国家の崩壊を招きかねず、次の世代の未来が脅かされる」と警告した。
国営メディアの同日の報道によると、ポートサイドではモスクで始まった抗議集会に約4000人が加わって市内をデモ行進。スエズ運河に面した各都市でデモ隊と警察や軍の衝突が続いている。
ムルシ大統領の出身母体、ムスリム同胞団は同日夜、外出禁止令緩和または解除の権限を、大統領からポートサイド、イスマイリア、スエズの3都市の知事に委譲したと発表した。
今回のデモは、ムバラク政権を崩壊させた大規模デモから2年目に当たる25日から各地で拡大。ポートサイドなどで多数の死傷者が出たことを受け、ムルシ大統領は27日に限定的な非常事態を宣言し、3都市に30日の夜間外出禁止令を出していた。
当初は軍がデモ参加者に対して実弾を使ったとも報じられたが、国営メディアは国防相がこの情報を否定したと伝えている。
運輸省によると、ポートサイドの港湾業務やエルアリシュ港の交通には、今回の衝突による支障は出ていない。
同国で死者が相次いだ事態を受けて国連のナビ・ピレー人権高等弁務官は声明を発表し、「未確認情報として、大半が当局による実弾と過剰な催涙弾の使用による犠牲者だったと伝えられている」と非難。さらに、首都カイロのタハリール広場でここ数日の間に女性のデモ参加者25人あまりが性的暴行を受けたと指摘し、政府に対応を促した。