(CNN) イラクで従軍中に爆発に遭って両手両足を失った米陸軍兵が、米国の病院で両腕の移植手術を受け、29日に記者会見して回復の喜びを語った。
移植手術を受けたのはブレンダン・マロッコさん(26)。2009年にイラクで装甲車を運転していて路上爆弾の爆発に遭遇し、両手両足を失った。
両腕移植手術はメリーランド州ボルティモアのジョンズホプキンズ病院で12月に行われ、無事成功。マロッコさんは「長い間待ち続けていた事が実現した。自分の人生にとってあまりに大きな事なので、何と言っていいのか分からない」と喜びを噛みしめる。
同病院によると、両腕移植の成功は米国で7例目。両手両足を失った兵士では初めてのケースだという。
手術は5病院から集まった整形外科医と微小血管外科医16人の執刀で行われ、13時間に及んだ。手術とリハビリの費用はすべて、米国防総省傘下の軍の医療研究機関と同病院が負担した。執刀チームは死亡者の腕を使って過去1年半で4度のリハーサルを行ったという。
主治医によると、右腕はひじ上の部分で、提供者と患者の腕の骨と筋肉、血管、神経、皮膚をつなぐ手術を実施。左腕はひじの関節を残し、提供者の腕の筋肉を患者の組織にかぶせる形で移植し、神経を新しい筋肉につなぎ替えた。
マロッコさんは「今のところ、左ひじは動かせる」「この(右)腕はまだほとんど動かないが、いずれうまく機能するようになると期待している」と話す。
これまでの経過は順調だが、この先も拒絶反応が出たり、感染症や臓器障害などの副作用が出たりする恐れがあり、治療は数年にわたって継続する。
さらにあと2~3年は、1日6時間のリハビリを毎日欠かさず続けることになる。
マロッコさんは「是非とも車を運転したい。ドライブが大好きだったから。それと、またアスリートになりたい。車椅子マラソンが目標の1つ」と抱負を語る。同じような境遇の人には「人生は常に良くなる。まだ生きているのだから、とにかく意地になって頑張ること」と話し、希望を捨てないでほしいと訴えた。