(CNN) 独イエナ大学宇宙物理学研究所のラルフ・ノイホイザー氏らはこのほど、8世紀に地球に降り注いだガンマ線は、終末を迎えた星同士の衝突から発生した可能性があるとの論文を英王立天文学会の月刊誌に発表した。
ノイホイザー氏らによると、中性子星やブラックホール、白色わい星など終末を迎えた2つの星が衝突、合体し、ガンマ線が大量に放出される「ガンマ線バースト」と呼ばれる現象が発生。8世紀の地球にガンマ線が降り注いだという。
同氏らが研究を始めたのは、昨年、名古屋大学太陽地球環境研究所の三宅芙沙氏らの研究チームが発表した論文がきっかけだった。
三宅氏らは、西暦775年に形成された屋久杉の年輪から高レベルの炭素14とベリリウム10を測定したと発表。この時期に地球に強い宇宙線が降り注いでいた可能性を指摘した。
だが歴史資料を調べても、当時、超新星爆発や太陽フレアが見られたという記録は見つかっていない。この謎の解明を目指しノイホイザー氏らは研究。終末を迎えた小さな星同士の衝突ではガンマ線バーストは数秒間で終わり、可視光線を出さないとの考えを示した。
なお、ガンマ線の照射による生物の絶滅といった明らかな悪影響がみられなかったことから、星の衝突は地球から3000光年以上離れた場所で起きたと同氏らは推測する。
この研究が現代に与える示唆をノイホイザー氏に問うと、「銀河系内で高エネルギーを発する現象が起きても、我々はオゾン層で守られている」「電子機器や軌道上の衛星は、このようなバースト現象よりも太陽フレアから受けているリスクの方が大きい」と答えた。