リビア・トリポリ(CNN) ガス施設で人質事件が起きたアルジェリアの隣国リビアのベンガジで、欧米人に対する脅威が迫っているなどとして、英国やドイツが24日、自国民に退避するよう呼びかけた。一方、リビア政府はそのような脅威はないと否定している。
英国は、「ベンガジの外国人に対する具体的かつ差し迫った脅威がある」として、ベンガジに残っている英国人に対し、直ちに退避するよう勧告した。
オランダはベンガジへの渡航や滞在を控えるよう呼びかけ、ドイツもベンガジおよび周辺地域から離れるよう勧告。マルタ航空はベンガジとマルタを結ぶ24日の便を欠航とした。
米国務省は同日、「米国人に対して具体的かつ差し迫った脅威があることを示す具体的な情報はない。しかしベンガジの外国人を狙った暴力や誘拐が起きる可能性は大きい」として警戒を呼びかけ、ベンガジへの渡航は引き続き自粛するよう勧告。「リビアの治安状況が不安定なことから、米国民に対し、適切な警戒態勢を取るよう強く勧告する」とした。
リビアはベンガジと周辺の油田地帯の警戒態勢を強化する一方、国営通信は同日、「ベンガジに住む外国人の安全が脅かされているという情報を内務省が強く否定した」と報道、ベンガジの治安状況は安定していると強調した。
同国の有力議員は「テロリズムには宗教も国もない」「テロリズムは世界のあらゆる場所を攻撃する可能性があり、英国のような国も無縁ではない。しかし実際には存在しない事柄をほのめかすような発表を行うことは正当化できない」と反発している。
一方、油田地帯の警備を担う組織の司令官は、「アルジェリアとニジェール、マリの状況を受け、この地で起こり得る緊急事態に対する万全の備えが必要だ」との認識を示した。同組織などは政府寄りの民兵組織にも、油田地帯警備への協力を求めた。
同国のゼイダン首相によると、移民の流入を食い止めるため、同国とスーダン、チャド、ニジェール、アルジェリアとの国境は12月に封鎖した。だが、抜け道も多いという。当局者によれば、ベンガジでは警戒態勢を強化し、夜間外出禁止令を出すことも検討している。
国際ニュース安全研究所(INSI)は、信頼できる筋から、「テロ組織がリビアの原油地帯で犯行を計画している可能性がある」との情報が寄せられたことを明らかにした。アルジェリアと同様に、人質を取る犯行が計画されているという。
リビアの油田地帯の大部分はベンガジ東部に位置しているが、イスラム勢力は2月中旬までにこの地域を中央政府から分離独立させるよう要求しているという。ただし、今回のテロ計画の情報が、この問題と関係しているかどうかは不明だとINSIは述べている。