ヨルダンに押し寄せるシリア難民、窮状募り抗議デモも

シリアでの内戦を逃れ避難してきた人々

2013.01.24 Thu posted at 12:02 JST

(CNN) ヨルダンのジュデ外相は23日、内戦が続く隣国シリアから流入した難民がここ数日だけで2万人あまりに上っていることを明らかにした。救援物資が不足し、人道危機が長引く恐れもあるとして、支援団体などは国際援助を増やすよう求めている。

ヨルダン最大のザータリ難民キャンプでは、22日に子ども2人が死亡し、難民の間で小規模な抗議デモが起きた。同キャンプはシリアとの国境から約15キロ離れた砂漠の中にあり、ここ数週間は豪雨や洪水、極端な寒さに見舞われて窮状が募っていた。

ジュデ外相は、シリアの衝突が始まって以来、難民の数は35万人に達したと述べ、今後数日でさらに増えると予想。「アラブ諸国や西側諸国、国際団体から援助を受けているが、流入者の数に照らすとまだ足りない」と訴えた。

難民支援団体の国際救援委員会(IRC)は先週、ヨルダン、レバノン、トルコ、イラクに流入したシリア難民は約60万人に上り、人道危機が長引く恐れがあるとの見方を示した。ヨルダンなどではキャンプ外で暮らす難民も多く、学校や廃棄物処理などのインフラが整っていない町は、突然の人口増大に対応しきれない状況だという。

プラスチック製のテントは夏の暑さを防げても、冬の寒さにはほとんど無力だという

ジュデ外相やIRCによると、ヨルダンに流入した難民の約80%は都市や町を目指しており、この影響で家賃が上昇する一方、日雇いなどの賃金は低下。子どもの教育も問題になっている。

たとえシリアの衝突が終わったとしても、社会や市民生活は寸断され、経済やインフラは破壊され、国民は各地に散らばって町は廃墟と化し、普段の生活が戻るまでには数カ月から数年かかるとIRCは予想。壊滅的な事態を防ぐため、人道援助を大幅に増やす必要があると呼びかけた。

国連のバレリー・エイモス緊急援助調整官は、30日にクウェートで開く会議で、人道団体が求めている15億ドルの援助が集まることを期待すると述べた。この額でシリア国内の避難民と周辺国に逃れた難民の半年分の援助をまかなえるという。

ヨルダンのザータリ難民キャンプは同国北部にあり、シリアからの難民約6万人が暮らす。

内戦を逃れ避難してきたシリアの子どもたち

国連難民高等弁務官事務所によると、23日だけで新たに3000人近くがたどり着き、これでヨルダンへの1月の流入数は2万6500人に到達、12月より60%増えた。今後も数週間にわたって流入が続く見通しだという。

難民の大半は所持品をほとんど持たずに国境にたどり着き、子ども連れで衣類は濡れ、寒さに凍え切った人もいる。

着の身着のままでたどり着いてテント村で商売を始める人もいて、ヨルダンから寄付された食品や衣類、日用品などを販売。住人の多くはまだテント暮らしだが、アラブ諸国からプレハブ住宅3000棟が届き、9カ所の保健施設では42人の医師が診療活動を行う。キャンプ内では毎日5人の赤ん坊が生まれている。

それでも厳しい寒さや浸水被害のために住民の苦情は尽きず、水や補給物資を届けるのも困難を極めるという。

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