グーグル会長娘が訪問で見た 北朝鮮の実態

グーグルのシュミット会長

2013.01.21 Mon posted at 12:17 JST

ニューヨーク(CNNMoney) 米グーグルのエリック・シュミット会長に同行して北朝鮮を訪問した娘のソフィー・シュミット氏が、北朝鮮での体験を記した旅行記をこのほどグーグルのブログに掲載した。

ソフィー氏は、リチャードソン前ニューメキシコ州知事が率いる9人の北朝鮮訪問団の1人として、父のエリック氏に同行した。ブログでは多数の写真を添えてこの時の様子を紹介。北朝鮮は「ものすごく寒く」、訪問は「ものすごく奇妙だった」と振り返った。一行には常に2人の見張りが付いたといい、その理由についてソフィー氏は、「片方がもう1人を見張る」ためと分析する。

「平壌で見た内容から、北朝鮮の現実をどの程度推定できるのかは分からない」と前置きした上で、高度にお膳立てされた出会い、厳密に統制された観光などが入り混じった旅だったと述懐。「当局が許可しない北朝鮮人との交流はゼロだった」と記している。

旅は最初から驚きの連続で、入国管理書類には「殺人装置」、GPS技術、「あらゆる種類の出版物」の携行について申告する欄があったという。

グーグルのシュミット会長

北朝鮮の携帯電話インフラを使って国際電話をかけることはできたが、データ通信サービスはなかった。北朝鮮の国家イントラネットについては、「現実のインターネットから持って来て洗浄したコンテンツの箱庭」と形容している。

金日成大学の電子図書館の視察は特に印象的だった。90人ほどがコンピューターの前に座っていたものの、画面を操作していたのはほんの数人にすぎず、残りはただ、じっと画面を見つめるのみ。「私たちが騒がしく入っていっても誰も目を上げなかった。振り向くことも、目を合わせることなく、刺激にも反応しない。まるで人形のようだった」という。

ITに詳しい人物と話す機会もあり、アンドロイド(グーグルの携帯用OS)の次のバージョンはいつ登場するのか、北朝鮮製のアプリをグーグルのアプリ配信サービスに掲載できるかといった質問も受けた。これに対してソフィー氏は、「国際的な経済制裁を受けているから無理」との答えを示した。

北朝鮮軍によるパレード=2012年4月15日、北朝鮮・平壌

「自分たちが見聞きしたことについて考えれば考えるほど、それが実際に何を意味するのか分からなくなる」というのが旅を終えての感想だった。

一方、父のエリック氏も20日、北朝鮮訪問についてブログで報告し、「北朝鮮のテクノロジーは現時点で非常に限られている。急速に結びつきが強まる世界の中で、北朝鮮が仮想空間で孤立を決め込んでいることは、現実世界と経済成長に非常に大きな影響を与える。彼らが経済的に追い付くことはますます難しくなるだろう」と総括した。

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