(CNN) アルジェリアの天然ガス施設が武装勢力に襲撃され日本人を含む外国人などが人質に取られた事件で、アルジェリア軍が人質救出作戦を実行した。国営アルジェリア・プレス・サービス(APS)は、17日までに外国人4人を含む600人あまりが解放されたと伝えている。
英当局者は、人質救出に向けた「継続的な活動」が各地で行われていると述べた。活動の詳細については不明。同当局者は事件で犠牲となった英国人は「かなりの」数に上ると語った。キャメロン英首相は17日、「さらに悪い知らせがくる可能性に備えておくべきだ」と語っていた。
日本のプラント建設大手、日揮は現地にいた同社の従業員3人の無事を確認したものの、14人とは連絡がとれていないと発表した。
菅官房長官は記者会見で、人質の安全に関する情報が錯そうしており、日本人14人の安否がとれていないと述べた。日本政府からアルジェリア政府に対して、人質を危険にさらすことのないように要請していたと明らかにし、同国軍による作戦実行について遺憾の意を示した。
APSによると、17日夜までに解放された外国人は、スコットランド人2人、ケニア人とフランス人が各1人。しかしまだ人質は残っているとみられ、事態の解決には至っていない。
軍の作戦によって多数の死傷者が出たが、正確な数は分からないとAPSは報道。作戦は17日夜までに終了したが、この時点で、残された人質の数や人質が置かれた状況、今後も作戦を実行するかどうかなど、詳しいことは不明だという。
同国のラジオ局によると、アルジェリア軍は現場から走り去ろうとしていた車2台を銃撃し、付近でも大規模な衝突が発生。米当局者は17日、情報収集のため、施設上空に無人戦闘機を飛ばしていることを明らかにした。
国営通信は、アルジェリア人の人質は全員が解放されたと伝えた。しかし同国内相によれば、外国人は引き続き拘束されているという。脱出したり解放されたりしたアルジェリア人は、ヘリコプターで救出された。
この事件では同国東部イナメナスにある英石油大手BPの天然ガス関連施設が16日にイスラム武装勢力に襲撃され、アルジェリア人と外国人が人質になった。16日の時点でアルジェリア人1人と英国人1人が死亡。襲撃は、フランスがマリに軍事介入したことに対する報復とみられる。
米国務省当局者は、人質の一部は爆弾を仕掛けたベストを着せられていると語った。
人質の数については、襲撃側が米国人、フランス人、英国人を含む40人以上を人質に取ったと主張しているのに対し、APSは、外国人の人質の数は約20人と伝えている。これまでのところ、ノルウェー人、米国人、日本人、英国人が人質になっていることを、各国の当局者が確認した。
ノルウェーの石油大手スタットオイルによると、同社の関係者はノルウェー人5人とアルジェリア人3人の無事を確認する一方、ノルウェー人9人の安否が確認できていないという。
BPとスタットオイルは、不要不急の要員をアルジェリアから出国させていることを明らかにした。
報道によれば、フランス人看護師1人が解放されたとの情報もある。また、アイルランド首相は、アイルランド人男性1人が解放され、既に家族とも連絡を取ったと発表した。
カーニー米大統領報道官によれば、米国人の人質の数は分かっていない。複数の米当局者によれば、米国人の一部は17日夜までに一部が解放されたが、残りはまだ安否が確認できてという。
日本と英国は当局者を現地に派遣して情報収集に当たっている。英キャメロン首相は18日にオランダで予定していた演説をキャンセルし、17日にオバマ米大統領と対応を協議した。
米政府当局者によると、アルジェリア軍が救出作戦を実行する前に、米国は同国に対し、人質の安全を最優先するよう申し入れていた。しかし作戦の実行に当たり、アルジェリア政府から米政府への事前の連絡はなかったという。
今回の襲撃事件で犯行声明を出したイスラム武装勢力は、アルジェリア人のモクタール・ベルモクタール容疑者が率いている。同容疑者は10代のころにアフガニスタンの戦闘で片目を失い、これまでにも人質事件を繰り返してきた人物。フランスの対テロ部隊は同容疑者を追い続けている。