シリア内戦、アルカイダ系が反体制派の主要勢力に 英報告書

2013.01.10 Thu posted at 20:15 JST

(CNN) テロ対策などを提言する英シンクタンク「キリアム財団」は10日までに、シリアのアサド政権軍や政府支持の民兵組織「シャビーハ」との交戦に加わる国際テロ組織アルカイダ系のイスラム過激派「ヌスラ戦線」の戦闘員は約5000人で、反体制派武装勢力の中で最も効果的な組織力を保持する勢力に浮上したなどとする報告書を公表した。

米政府は同戦線を先月、テロ組織に指定した。ロンドンに本部がある同財団はヌスラ戦線は、イラクのアルカイダ系組織「イラク・イスラム国」の流れをくむとし、イラクでテロ闘争の経験を持つ戦闘員も加わっているとした。

CNNが事前入手した同財団の報告書作成には、アルカイダ最高指導者だったオサマ・ビンラディン容疑者とも個人的な関係を築いていたリビアの元聖戦主義者ノマン・ベノトマン氏も参加。同氏は現在、欧米の情報機関とも協力しシリア内の聖戦主義者やヌスラ戦線とも接触を保つ。

米国務省はヌスラ戦線のテロ組織指定に当たりイラク・イスラム国と合わせアブ・ドゥア最高指導者が両組織を仕切っていると説明。同戦線の指導者はアブ・ムハマド・ジャウラニでドゥアから闘争の戦略方針を指示され、シリアでの活動を任せられているとしていた。また、同戦線は悪意ある意図を基にシリア国民の闘争を盗もうとしていると糾弾していた。

ベノトマン氏は、ジャウラニはシリアの聖戦主義者で、イラク・イスラム国の元指導者ザルカウィの側近だったことはほぼ確実と指摘。自らの身元がばれることに極めて神経質で、幹部工作員との会合に覆面姿で出席することもあるという。

同戦線の最終目的は、シリアやレバノン、イスラエルなどを含めた地域でのイスラム国家の樹立で、手始めに戦闘員を募っての訓練や武器収集、聖域の構築に腐心している。作戦遂行での機密保持に注意し、交信手段は電子機器ではなく連絡員の派遣を通じて実施。ベノトマン氏は、同組織による作戦上の機密保持のシステムは最上の部類に入ると評した。

また、新たな構成員を加えることにも細心の注意を払い、前線の司令官2人から必要な技量や宗教的信念、態度に関する個人的な保証を得た者だけを受け入れている。

シリア内戦で米政府は反体制派への武器供給に消極姿勢を示しているが、ヌスラ戦線などイスラム過激派への流出が懸念材料とされている。

シリア内戦、アルカイダ系が反体制派の主要勢力に

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