映画館乱射事件の惨状を警察官が証言、被告は無言 米コロラド

予備審問に出廷したジェームズ・ホームズ被告(25)

2013.01.08 Tue posted at 12:38 JST

コロラド州センテニアル(CNN) 米コロラド州の映画館で昨年7月に起きた銃乱射事件で、殺人罪などに問われているジェームズ・ホームズ被告(25)の公判に向けた予備審問が7日、同州センテニアルの裁判所で開廷した。

ホームズ被告は昨年7月20日に劇場内で銃を乱射し、12人を殺害したとして、殺人や殺人未遂など166件の罪に問われている。予備審問は、公判に持ち込めるだけの証拠がそろっていることを裁判官に示す目的で開かれ、この日は検察側の証人として、現場に出動した警察官や現場検証や関係者の事情聴取を担当した捜査員などが出廷して証言した。

事件発生直後の現場に駆け付けた同州オーロラ警察の警察官ジャスティン・グリズル氏は、劇場内の床に血だまりができ、重傷を負った被害者が何人も倒れ、携帯電話が鳴り続ける惨状を目の当たりにしたと証言した。

グリズル氏は重傷を負った被害者数人をパトカーに乗せて病院に搬送。しかし途中で1人の男性が「自分も頭部を撃たれていたのに、娘のところへ戻ってほしいと頼み続け、パトカーのドアを開けて飛び降りようとした」と証言し、涙をぬぐった。グリズル氏は男性が飛び降りないよう、肩を抱きかかえながら運転を続けたという。

この男性の6歳の娘は4発の銃弾を浴びて死亡。妊娠していた妻は流産し、下半身まひなどの症状が残った。

予備審問では事件当時の状況を説明

関係者の話によると、ホームズ被告は劇場の後方の出口から出て扉を開け放ったままの状態にし、武器を持って戻ってきて、場内を歩きながら無差別に発砲したとされる。目撃者によれば、映画を見ていた観客は悲鳴を上げて逃げまどい、場内は「ホラー映画そのもの」だったという。

検察側が公開した防犯カメラの映像には、携帯電話を使って端末でチケットを印刷するホームズ被告の姿や、雪崩を打って劇場から脱出する観客、カウンターに身を隠す係員などが映っていた。

被告側弁護団は、ホームズ被告は精神疾患などのために判断能力が低下する「心神耗弱」の状態だったと主張する見通し。この日の質疑応答では事件当日の同被告の様子について、弁護側が警察官らに質問した。

事件現場でホームズ被告を発見した警察官は、同被告はヘルメットと防毒マスクを付けた姿で自分の車の前にじっと立っていたと証言。被告は「非常にリラックスした様子」で、連行される間も一切抵抗しなかったと語った。

裁判所は予備審問を踏まえ、公判を開始するかどうかを判断

この日の審問の間も、ホームズ被告は終始無言だった。ひげをそって赤茶色の髪で現れた前回とは対照的に、今回は髪が乱れ、ひげが伸びた姿だった。

傍聴席は武装した警備員が厳重な警備を固める中、被害者の遺族や報道陣が詰めかけ、遺族からすすり泣きの声が漏れた。

アラパホ郡地裁の裁判官は、予備審問を受けて、ホームズ被告の公判を開始するかどうかを判断する。予備審問は数日に及ぶこともある。

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