シリア・バブアルサラム(CNN) シリア北部のトルコ国境付近の町バブアルサラムにある避難所には、今日も多くの子どもたちが飢えをしのぐために雑草をかき集めながら、国外退避できる日を待っている。
3人の少年たちが懸命に地面に穴を掘っている。状況が違えばそれは「遊び」になるだろうが、戦争の続くシリアと難民受け入れに難色を示すトルコに挟まれたこの地域には無邪気さなど残っていない。
ムハンマド・ザフィールくん(13)は仲間たちと、「ジェット機が来て爆弾を落としていったときのために」穴を掘っているという。「ここに子どもたちを隠す。もっと大きい穴にしていく」
ここではあまりに早く、不自然な形で大人になることが求められる。遊びに費やされていたはずの時間は防空壕(ごう)を掘る時間へと変わった。ムハンマドくんは音で、ミサイルか、携行式のロケット弾か、重機関銃かを聞き分けられるという。掘った穴には、空襲時でも外の様子がわかるようにのぞき穴まで作った。泥を使って手で作った原始的なものだが、ここにはそれ以外の材料はない。
数百メートル先にはトルコが見える。経済発展を遂げている隣国を横目に、燃料となる木材を探し、プラスチックを燃やして暖をとる生活が続く。飢えをしのぐために、雑草も刈り取る必要がある。内戦開始から2年近くたった今、凍えるような寒さと飢えが彼らを待っている。
トルコは今、バブアルサラムにいる避難民を受け入れていない。避難キャンプには約200世帯がプラスチック製のテントに寄り添って暮らし、現在もその数は増えつつある。近隣の町で赤十字に従事していた人は、「ここの人々の8割はトルコに逃げたいと願っている。だがトルコ政府はこの6週間、受け入れを中止している。人々は怒っている。我々も十分な物資を供給できていない」と状況を説明する。
避難所の人々を襲う冬の寒さは厳しい。アブドゥル・アルハッサムさんは、ある朝起きてみると、前夜まで元気に遊んでいた娘が寒さに体を丸めながら死んでいたと語る。生き残ったもう一人の娘も「寒さを怖がっている」という。
周辺には暖を取るための木々もほとんどない。プラスチックは見つけやすいが、燃やせば有害な煙が出てくる。それでも子どもたちはこの「お宝」を探して集め、暖をとろうとする。その結果、せきがとまらない状況が広がっている。
日暮れと共に、子どもたちは食べるための草を集めに行く。