太ったサンタはもう古い? 肥満深刻化で問題視する声も

2012.12.24 Mon posted at 17:15 JST

(CNN) サンタクロースといえば、白く長いひげと出っ張ったお腹という姿で世界中の子どもたちに愛されてきた。しかし子どもの肥満が深刻化している米国で、サンタもダイエットした方がいいのではと問いかける声が上がっている。

「プロのサンタ」として活躍するロイ・ピックラーさん(63)もその1人。参加者がダイエットに挑戦する人気テレビ番組「ビッゲスト・ルーザー」に出演し、約40キロの減量に成功した。「サンタはお手本となるべき人物。子どもたちは太ったお手本を求めていない」と訴える。契約先の企業への問い合わせでも、「今のままの君でいい。健康的なサンタというアイデアを採用したい」と請け合ってもらえたという。

米疾病対策センター(CDC)によると、米国の子どもや若者の肥満率は1980年からの30年あまりで3倍に増え、2~19歳の肥満人口は約1250万人に上る。肥満は糖尿病や心臓疾患の原因となるだけでなく、いじめられたり自尊心を失ったりして心理的な問題も引き起こす。

子どもたちは良いことも悪いことも自分の大好きな人物から学ぶ。そしてサンタといえば、誰からも愛される存在だ。子どもたちは毎年、少なくとも1カ月の間、サンタの姿を広告やテレビで見たり、イベントで行列を作ってサンタと触れ合ったり、サンタの歌を歌ったり物語を聞かされたりする。

しかしファストフードの広告が児童や生徒に及ぼす影響が懸念される一方で、これだけ目に触れる機会の多いサンタが太ったままでいいのだろうか。

「サンタが痩せているべきだとは思わない」と笑いながら話すのは、栄養学の専門家ベス・キッチン氏。

健康を測る指標は身長と体重から算出する体格指数(BMI)以外にもたくさんあり、BMIが高くても健康な人はたくさんいると解説する。サンタは9頭のトナカイと何百人もの妖精の面倒を見ているので非常に活動的なはずであり、陽気な性格からはストレス度が低く、血圧も低いことがうかがえるという。

もちろん、サンタは甘いものが大好きだ。一説によると、サンタがクリスマスイブに食べるクッキーの量は5000トン以上。英医学誌に2009年に発表された論文ではサンタを「健康不良児」と位置付けているほか、オーストラリアの研究者によれば、サンタの認知度が高い国は子どもの肥満率が高い傾向があることが分かったという。

サンタは4世紀のトルコに実在していた聖ニコラウスという裕福な若い司教がモデル。親をなくした子どもたちに自分の全財産を分け与えたとされる。

国際サンタクロース団体の創設者トム・クライナー氏によれば、「当時は太っていることが富の象徴だった」という。現代のサンタについて同氏は、お手本というよりも有名人というべき存在であり、「サンタクロースになりたいという人は見たことがない」と指摘した。

伝統文化についての著書があるメグ・コックス氏も、サンタに定着したイメージを変えるのは難しいとの意見だ。毎年同じキャラクターを見ることは安心感につながるとも言い、「そうした伝統は自分の子どもたちへと受け継がれていく」と解説する。

それでも痩せた方がいいと思うのなら、サンタはクッキーを食べるのに飽きたからと子どもに言い聞かせ、クッキーの代わりにリンゴを置くのもいいと同氏。「サンタの物語を自分でつくれば、究極の自分流のクリスマスになる」

プロのサンタのピックラーさんは今、妻のクリスさんと共に、米中西部で子どもたちに健康的な食生活と運動の大切さを説いて回っている。サンタクロースの格好で学校に行き、衣装を脱いで鍛えた体を披露することもあるという。

サンタについてのドキュメンタリー番組でもピックラーさんは、「(サンタの役を)言い訳にはできない。子どもたちに悪い影響を与えてしまう」と訴えている。

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