シリア軍のスカッドミサイル攻撃が拡大、化学兵器搭載なし

2012.12.22 Sat posted at 15:05 JST

(CNN) シリア内戦で北大西洋条約機構(NATO)のラスムセン事務総長は22日までに、同国のアサド政権が反体制派武装勢力の掃討のため弾道ミサイル「スカッド」による攻撃を最近拡大していると述べた。

スカッド投入の加速は崩壊に近付くアサド政権の絶望的なあがきの表れとも語った。シリア政府軍によるスカッド投入は米政府当局者が今月中旬に初めて明かしていた。

NATO高官によると、軍が撃ち込んだ同ミサイルに化学兵器が搭載されている形跡はない。ミサイルは全てシリア内に着弾したが、死傷者の有無は不明としている。

トルコ外務省当局者によると、一部のスカッドミサイルは20日未明、首都ダマスカスから北部の主要都市アレッポの方向に発射された。同市周辺と対トルコ国境周辺のシリア領内に計4発着弾したとしている。

NATO高官はCNNに、シリア軍はこれまで約6発のスカッドB型ミサイルを北部地域に発射し、うち1発はトルコとの国境から約32キロ離れた地点に落ちたと説明した。標的は反体制派の弾薬保管庫となっている。

シリア軍は天候が悪化し、空爆が不可能となった場合、スカッド攻撃に転じているとの見方もある。

同ミサイル投入については米国の衛星画像、米国とNATOのレーダーや電子諜報(ちょうほう)などを通じて、発射や着弾地点の情報把握に努めている。アサド政権が保有する旧ソ連製の短中距離用のスカッドミサイルは最大400発とされる。

同ミサイル攻撃が増えていることについてラスムセン事務総長はトルコへの被害はないが、NATOに加盟する同国の防衛計画の構築を明らかに迫られていると指摘。NATOはトルコの要請に応じ、地対空ミサイルシステム「パトリオット」の配備を急いでいる。現在は計6基の配備地点の最終選定を進めており、来年1月末までには据え付けを終える見通し。昨年3月以降に激化したシリア内戦では、トルコに砲弾が着弾するなどの被害が再三出ている。

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