英妃入院先へのなりすまし電話で警察動く、看護師の死受け

病院の前には数多くの取材陣が

2012.12.10 Mon posted at 15:05 JST

(CNN) 英ウィリアム王子の妻キャサリンさんが入院していたロンドンの病院の看護師が、オーストラリアのラジオ局のDJにだまされた後に自殺したとみられる問題で、ロンドン警視庁はオーストラリアの当局に接触していることを明らかにした。ラジオ局の親会社は9日、捜査結果はまだ出ていないとする手紙を病院に送った。

この問題ではオーストラリアのラジオ局2デイFMのDJ2人が、エリザベス女王とチャールズ皇太子になりすまして4日に病院に電話し、キャサリンさんの容体を聞き出して、その内容を放送していた。

7日になって、この電話を病棟に取り継いだ看護師のジャシンサ・サルダナさん(46)が死亡しているのが見つかった。警察は検視を行って死因を調べる方針。

ロンドン警視庁はなりすまし電話に関連して、オーストラリアの当局に接触したことを明らかにした。しかし内容や接触した相手については明らかにしていない。オーストラリアのニューサウスウェールズ州警察は、ロンドン警視庁の協力要請に応じる意向だとしている。

一方、2デイFMの親会社サザンクロス・オーステレオのマックス・ムーアウィルトン会長は9日、キング・エドワード7世病院の病院長に宛てた手紙の中で、「このような悲劇的な出来事に至った詳しい事情についてはまだ完全には分かっておらず、我々は捜査結果が出るのを待っている」と説明した。

2デイFMは大手広告主数社がCMを引き上げ、少なくとも10日の営業時間終了までCMなしで放送すると発表した。

キング・エドワード7世病院の病院長は8日、同局が電話の内容を放送したことについて、「計画的で無分別な行為のために、献身的な看護をしていた看護師が屈辱を受け、言葉に尽くしがたい悲劇を招いた」と非難し、同局に対して再発防止対策を求めた。

英国の各紙は、なりすまし電話をかけたDJのメル・グレイグ、マイケル・クリスチャン両氏を非難する記事を掲載。サザンクロスは8日に開いた記者会見で謝罪し、2人を無期限で停職処分としたことを明らかにする一方、「違法性はなかった」と釈明している。

オーストラリアの報道機関を管轄する当局は、現時点で事件についてのコメントは出していないが、なりすまし電話に関して事実関係を調べる方針を明らかにした。

キャメロン英首相は8日、「非常に悲しい事件」だと述べ、英王室は「王子夫妻は深い悲しみに暮れている。キャサリン妃はキング・エドワード7世病院に入院中、非常に手厚い看護を受けた」として、遺族や同僚に哀悼の意を表した。

これとは別に王室の広報は、「電話の件で病院に苦情を行ったことはなく、関係した看護師と病院職員を全面的にサポートすると表明していた」と話している。

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