シリア高官、キューバなど3カ国訪問か アサド氏「亡命」で

2012.12.06 Thu posted at 19:25 JST

(CNN) 事態打開の出口が依然見えないシリア内戦で、イスラエル紙ハーレツは5日、シリア外務省高官が最近、アサド大統領の親書を持ってキューバやベネズエラ、エクアドルを訪問、大統領や家族がシリア出国を迫られた場合、政治亡命を受け入れるかどうかの可能性を探ったと報じた。

キューバとベネズエラは反米路線を進め、左派政権のエクアドルも米国に対抗する政策を打ち出している。仮にアサド氏がエクアドルに亡命した場合、同国政府は訴追のため身柄を外国に送還することに抵抗するともみられる。エクアドルの駐英大使館は現在、亡命を求めた内部告発サイト「ウィキリークス」代表のジュリアン・アサンジュ容疑者を保護し、スウェーデンへの送還を拒否している。

ただ、米コロンビア大学の国際法専門家はキューバなど3カ国の反米政権が無期限に続くわけではないことを踏まえれば、アサド氏は3カ国に逃れることをためらうだろうとも分析。また、アサド氏は国内での非人道的ともされる反政府派弾圧の責任を問われることが確実で、米国務省のトナー副報道官は5日、記者団に亡命を受け入れた国はこの問題に対処する責務があると強調した。

キューバなど反米色が濃い3カ国がアサド氏の選ぶ亡命国として浮上した背景にはこの責任が回避出来るとの見立てが作用した可能性もある。

シリアのアサド大統領夫妻

米国や欧州、アラブ諸国内の複数の消息筋によると、アサド氏が権力放棄に傾いているとの兆候はまだない。米国務省のヌーランド報道官は先月、多数の国がアサド氏に亡命受け入れの考えを示したと明らかにしていた。ただ、具体的な国名には触れなかった。

多くのシリア問題専門家らによると、アサド氏が出国した場合、シリアの同盟国であるイランが最適な受け入れ国となることも考えられる。イランはアサド政権存続に協力しており、長期にわたって身の保全を図ることが可能だからだ。

ただ、イランはアサド氏が依然、シリア内の相当な地域を掌握している限り、出国を支持しないとも受け止められている。

アサド氏を支援し、大統領辞任を迫る国際外交努力に反対するロシアも亡命の受け入れ国として浮上している。しかし、ワシントンの近東政策研究所の研究員は、亡命した大統領を抱えた場合、シリアの新政権と関係構築が困難になるためロシアのアサド氏受け入れの可能性は萎んでいると指摘した。

アサド氏「亡命」か?

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