グリーンランドと南極、氷床融解ペースが加速 海面上昇

2012.11.30 Fri posted at 12:17 JST

(CNN) 地球温暖化の影響で、グリーンランドと南極の大部分を覆う氷床の溶けるペースが速まっていることが、20年間の衛星解析によって確認された。米国や欧州の研究者でつくる国際研究チームが29日に発表した。

それによると、氷床の融解を原因とする世界の海面上昇は1992年から2011年の19年間で約11ミリに達し、この間の海面上昇の20%をもたらしていることが分かった。

南極の東部を覆う氷床は大きくなっているものの、グリーンランドと南極を覆う3つの氷床のうち2つの氷床で19年間に溶けた氷の量にははるかに及ばなかった。

研究に加わった米航空宇宙局(NASA)の研究者は「海面のわずかな上昇でも、インフラの保護に大きな影響が及ぶ地域もある」と警鐘を鳴らす。

世界の海面は年間3ミリずつ上昇していると推定されており、原因として海水の温暖化による熱膨張と、グリーンランドと南極の氷床の融解が挙げられている。

しかし、氷床の融解がどの程度の割合で海面上昇を引き起こしているのかについては様々な見解があり、国連の気候変動に関する政府間パネルが2007年に出した報告書でも結論は出していなかった。

今回の研究により、氷床の融解に起因する海面の上昇は、19年間の平均で全体の20%を占めていることが判明した。しかし過去数年では約30~40%を占めるようになっているという。

この研究は、欧州連合とNASA、全米科学財団、英国とオランダの研究機関の助成で、47人の研究者が衛星を使った観測結果をさまざまな方法で分析、結果を照合した。

論文執筆を主導した英リーズ大学のアンドルー・シェパード氏は、今回の研究によって氷床が失われつつあることがはっきりしたと指摘。この結論は今後の地球温暖化研究で海面上昇などを計算する際の基準値とすべきものだと説明している。

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