(CNN) エジプトのムルシ大統領が自身の権限強化を宣言した大統領令に対し、首都カイロ中心部のタハリール広場で27日、大規模な抗議デモが起きた。デモはおおむね平和的に実施されたが、少なくとも1人が死亡した。
ムルシ大統領は先週、すべての大統領令を司法判断の対象から除外すると宣言した。デモ隊は大統領に、これを撤回するか退任するかのどちらかだと迫った。
保健省によると、デモ隊と警官隊との衝突で少なくとも1人のデモ参加者が死亡した。野党勢力は、警察の使った催涙ガスを大量に吸い込んだのが原因だと主張している。
デモには欧米寄りのリベラル派や世俗主義者、穏健派、女性運動の活動家など、幅広い層が参加した。参加人数は発表されていないが、広場は参加者で埋め尽くされた。
北部マハッラでは、デモ隊が大統領の出身母体、ムスリム同胞団の本部ビルを襲撃。警察によると数十人の負傷者が出た。内務省報道官がCNNに語ったところによると、警察は催涙ガスで応戦し、多数の参加者を逮捕したが、ビルは破壊された。ムスリム同胞団系の自由公正党によれば、参加者らはナイフや銃を手に、4時間にわたって攻撃を続けた。
ムルシ大統領は26日、司法の対象から除外するのは国家主権にかかわる大統領令のみとする修正案を示したものの、反対派の怒りは鎮まらなかった。自由公正党の幹部は、大統領自身の免責を定めた内容ではないと主張するが、その詳細は不明だ。
同国のジャーナリスト、モナ・エルタハウィ氏は、ムルシ大統領がこの大統領令によりムバラク前大統領をしのぐ権限を手にしたと批判。「われわれは選挙でムルシ氏を大統領に選んだが、新たな独裁者を選んだつもりはない」と話す。
大統領令に対しては、エジプトの判事らも強く反発。26日には国内34の裁判所のうち27カ所がストライキを実施。検察官の9割も参加した。