(CNN) スペインやイタリアなど南欧を中心とする欧州の各国で14日、政府の緊縮策に抗議して大規模なゼネストが実施され、デモ隊と警官隊の衝突で逮捕者や負傷者が出ている。
スペインではゼネストの影響で公共交通機関がまひ状態となり、空港や工場、商店なども閉鎖、学校は軒並み休校した。大規模なデモも頻発し、一部が暴徒化している。
ポルトガル、ギリシャ、イタリアでも大規模なストが行われ、各地で警官隊とデモ隊の衝突が起きた。フランスやベルギー、さらにはこれまで堅調な経済を保ってきたドイツでも、散発的なデモが実施されている。デモ参加者は、緊縮策のために生活が苦しくなり、失業者が増加したと訴える。
ストの影響で欧州各地の空の便は数百便が欠航し、鉄道なども大幅に本数が削減されている。
ストは欧州各国の85労組でつくる「欧州労働組合連合(ETUC)」が呼びかけた。ETUCはウェブサイト上で「緊縮策は完全に行き詰まった。社会保障と賃金をこれ以上犠牲にすることがあってはならない」と呼びかけている。
スペインのゼネストは今年に入ってこれで2回目。同国の2大労組は、25%を超す失業率や、医療や教育といった分野の歳出削減に反発を強めている。内務省によると、抗議デモでは118人が逮捕され、警察官など43人を含む74人が負傷した。
隣国ポルトガルでも大幅な増税や失業率の悪化に抗議して、大手労組がストを呼びかけた。これまで平穏だった同国も、国民の怒りが強まって社会的不安が増大、抗議デモが頻繁に実施されるようになり、参加者も増えているという。ドイツのメルケル首相がポルトガルを訪問した12日には、首都リスボンで数百人が抗議デモに参加した。
イタリアではローマ、ミラノ、トリノでデモ隊と警官隊が衝突し、警察官数人が負傷した。同国は若者の失業率が35%に達し、学生などの怒りも強まっている。
ギリシャでも警察発表で5000人が抗議デモに集結したが、衝突などは起きていない。デモ参加者は、公務員の給与カットや年金カットに対して怒りをぶつけている。
抗議デモはドイツでも開かれ、首都ベルリンのデモには200人が参加した。労組がデモを組織したのは連帯感を示すのが主な目的だったとみられるが、同国でも景気が減速し、労働市場にもユーロ圏危機の影響が出始めている。