米原子力空母エンタープライズ退役へ 炉除去に3年、船体は一部売却

原子力空母エンタープライズが退役へ

2012.11.04 Sun posted at 17:15 JST

ワシントン(CNN) 世界初の原子力空母だった米海軍の「エンタープライズ」が今年12月1日に前線任務から正式に外れ、原子炉の撤去や核燃料の抜き取り、船体の解体が実施されることになった。金属類はスクラップとして売却されるという。

同空母は米軍の戦闘艦船としては最長の就役年数を持ち、半世紀にわたって米海軍の力の象徴ともなっていた。

大西洋艦隊航空隊の報道官によると、搭載する8基の原子炉の撤去や核燃料抜き取りには3年かかる。これに必要な経費は数千万ドルに達する見通し。炉の取り外しは米ワシントン州ピュージェットにある海軍造船所で実施される。この作業が終了すれば同空母は正式に退役したとみなされる。

同報道官によると、エンタープライズは原子炉停止の処置後、母港のバージニア州ノーフォークから同州ニューポートニュースの造船所に引航され、全ての核燃料が抜かれる。燃料は一時保管のためアイダホ州の施設に移される。最終処理はこの後になる。

ニューポートニュースではまた、エンタープライズの一部の設備を取り外す。艦載の航空機、弾薬類と推進系統システムを取り除いた同空母はこの後、南米大陸最南端にあるホーン岬沖を通過して米西部のワシントン州ピュージェットサウンドにある海軍造船所へ曳航(えいこう)される。ホーン岬をわざわざ経由するのは同空母の船体が巨大でパナマ運河の利用が無理だからだ。

エンタープライズは炉の除去に3年かかるとみられている=米海軍提供

原子炉の除去作業は船体の破壊を実質的に意味し、甲板や船体を多数切断する措置が必要になる。環境影響に関する海軍の声明によると、取り除かれた原子炉ははしけに積まれて、ワシントン州のコロンビア川を移動し、核関連施設だった場所に運ばれる。同施設には退役済みの米軍戦闘艦船の原子炉が保管されているが、エンタープライズの炉は巨大な溝の中に埋められることになる。

この後、エンタープライズの船体は切断され、金属類はスクラップとして売られることになる。同空母の重量は9万トンに達する。

米海軍の戦闘艦船では、これまでに他に7隻がエンタープライズの名前を冠している。空母のエンタープライズは消滅することになるが、建造予定の新型空母の船名を9隻目のエンタープライズとするための嘆願運動が既に起きている。

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