米政府、リビア領事館襲撃直後にイスラム過激派による犯行声明を認知か

CNNが入手した電子メール。国務省職員から関係機関宛てにアンサール・シャリアが犯行声明を出したと報告

2012.10.25 Thu posted at 18:51 JST

ワシントン(CNN) リビアのベンガジで9月11日に米領事館が襲撃され大使ら4人が死亡した事件で、事件直後にイスラム過激派組織が犯行声明を出したとの情報が、米国務省職員からホワイトハウスなどに電子メールで送られていたことが、CNNが入手した資料から分かった。同事件に対する政府の見解は事件後に修正を繰り返し、対応が批判にさらされている。

CNNが入手したのは、国務省職員のアカウントから送られた電子メールのコピー。これによると、領事館襲撃を知らせる第1報が届いた約2時間後に、「(イスラム過激派組織の)アンサール・シャリアがベンガジ襲撃の犯行声明を発表」と題したメールが送信された。メール本文には「トリポリの米大使館は、このグループがフェイスブックとツイッター上で犯行声明を出し、またトリポリの大使館への攻撃を呼びかけていると報告している」との記載があった。

アンサール・シャリアは翌日記者会見を開き、犯行を否定した。

CNNが入手した電子メール。ベンガジの米領事館が現在攻撃されていると報告

ホワイトハウスの関係者2人は匿名を条件に、この電子メールについて、諜報活動による情報ではないと指摘。「これは、事件当日に受け取った数多くの様々な報告の一部だ。どの事件も最初の数時間は、大量の矛盾した報告があがってくる」として、事件当時アンサール・シャリアの関与について矛盾する情報があったと説明した。

クリントン国務長官は24日、独立した委員会による調査が進んでいると言明。「ある特定の文書を取り上げるのでなく、全体を見渡して調査を進めている。このような方法が、今回のような複雑な事件では適切だ」として、調査が完了するまで待つように報道陣に語った。

事件後、米政府の事件に対する見解は迷走した。事件翌日、オバマ大統領は襲撃を「テロ事件」と表現したが、クリントン国務長官や国務省のヌーランド報道官、ライス国連大使は、イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくしたとされる米映画への反感がきっかけとなったとの見方を示していた。

CNNが入手した電子メール。領事館への銃撃は終了したと記載

国家テロ対策センター(NCTC)のオルセン所長が米上院で、事件はテロ攻撃だとの見解を提示したのは19日。カーニー大統領報道官はその翌日、「ベンガジの事件がテロ攻撃だったのは明らかだ」と認めた。

CNNの入手したメールのコピーによると、事件を知らせる最初のメールが送信されたのは、襲撃が行われている最中の米東部時間午後4時5分(リビア時間午後10時5分)だった。電子メールには「約20人の武装した人々が銃撃を行っている。爆発音も聞こえる」との様子が記載され、敷地内にいるスティーブンズ大使らは安全だと記してあった。

その後午後4時54分に送信されたメールでは、ベンガジ領事館における銃撃は終わり、敷地内への侵入者は排除されたと言及。領事館職員の捜索が行われているとも書かれていた。

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