日本や米国、インドなど敵国視強まる中国国民 米世論調査

2012.10.18 Thu posted at 19:30 JST

(CNN) 米国の世論調査機関ピューは18日までに、中国は近年、領土主権などを争う国家に対し敵対的な態度を一層深める傾向が見られるとの世論調査結果を公表した。領土論争などを抱える近隣諸国や国際的な競合国家と中国の今後の関係はさらに複雑化することが予想されるとも述べた。

2010年時点での調査によると、対米関係については中国人の68%が協力的なものと認識し、8%が敵対的な状況にあると回答していた。しかし、12年調査ではこの比率はそれぞれ39%と26%となった。

国際社会におけるオバマ米大統領への評価は就任した09年以降、多くの国で減少基調を示したが、中国では特に下落の度合いが激しかった。同年には中国人の62%が多少の差はあれ、オバマ氏は国際問題で正当な政策を示すと信頼し、逆の回答は38%だった。現在は信用しているが38%、反対の見方は41%に変わった。

オバマ米政権の政策への不信感が背景にあるとみられ、同氏の外交政策を評価するとしたのは09年に57%だったが、最近の調査では27%に後退した。米国が最近打ち出した国防戦略のアジア重視路線などが懸念を煽っているとも考えられる。

中国・上海の夜景

米中間の建設的な関係構築を促す団体が今年発表した世論調査によると、中国人の52%が米国は中国が大国と化すことを阻止していると受け止めていた。

アジアでの競争国家とも目されるインドへの中国人の見方も厳しくなっている。インドとの関係が協力的としたのは39%で、10年調査の53%からは大幅減。インドの経済成長が中国の好材料になるとしたのは10年には10人に6人の割合だったが、現在は44%に落ち込んだ。

日本に対する評価はより否定的となっている。41%が対日関係は敵対的な局面にあると回答し、協力的としたのは30%だった。

欧州連合(EU)やパキスタン、イランとの関係についても否定的な評価が多数だった。相互関係を肯定的にとらえる国家や地域連合などではロシアの評価が最も高く、48%が同国を好意的に見ていた。

ピューによると、各国に対する評価は中国の社会各層によって異なる。若年層や都市部住民、高学歴の持ち主、高所得層は各国に対して前向きな見方を示し、この傾向は対米関係で特に顕著だった。米国のポップ文化やビジネス手法などに親しみをより感じる感性が作用しているともみられる。

沖縄県・尖閣諸島(中国名・釣魚島)

尖閣諸島(中国名・釣魚島)問題がきっかけとなった中国での最近の反日デモは、中国の国内世論の動向が迅速に外交政策に反映されるかを見せ付けた。中国では今後数週間内に習近平(シーチンピン)国家副主席の国家主席就任が予想される新たな指導部が誕生する見通しだが、外交政策で多くの挑戦に直面することになる。国際政治での主要国の敵対視が強まる国内世論に対応する面でも多くの試練に向き合うこととなる。

ピューの中国での調査は同国の都市部で不規則的に抽出された回答者を対象に実施された。今回の調査結果の分析は米国と外国諸国の関係の現状を担当するピュー幹部のリチャード・ワイク氏の私見となっている。

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