映画「E.T.」から30年、出演者や監督が振り返る名場面

公開20年を記念して撮影された1枚。左からスティーブン・スピルバーグ監督、ドリュー・バリモアさん、ヘンリー・トーマスさん

2012.10.15 Mon posted at 14:59 JST

(CNN) 宇宙人と少年の交流を描いたスティーブン・スピルバーグ監督の大ヒット映画「E.T.」の公開から今年で30年。米国史上4番目の興行記録を打ち立てたこの作品は、今も観客の心に深い印象を残す。

E.T.は1982年に公開され、アカデミー賞4部門を受賞。主人公の少年エリオットを演じたヘンリー・トーマスさん(当時10歳)は、「映画の特撮についての知識がこれほど知れ渡った今になっても、どうやって自転車に空を飛ばせたのかと尋ねられる」と話す。

同作品はこのシーンをはじめ、心に残る名場面を散りばめて、特撮ばかりに頼らない映画作りを目指した。スピルバーグ監督は、特殊効果で観客をあっと言わせるよりも、満月の夜に実際の場面を撮影したかのように見せることにこだわった。実際、視覚効果チームは幾晩も月を観測し、森の中の完璧な場所と時間を探し出したという。

トーマスさんは41歳になった今でも、この場面の撮影に使われたスタジオのにおいを鮮明に覚えているという。また、エリオットが宇宙人のE.T.を誘うのに使ったキャンディーについて、「(スタジオセットの中に)いつも何袋も置いてあったので、撮影の合間に食べ過ぎて気分が悪くなった」というエピソードも明かした。

E.T.が今でも感銘を与え続ける理由については、「思いやりと友情のテーマに観客が共感してくれた。単純だけれど、とても人間的なことだから」と語る。

エリオットの母メアリーを演じた女優ディー・ウォレスさんも、「すべての世代が次の世代に引き継ぎ、語り継いでいきたいと思うストーリー」と指摘した。

スティーブン・スピルバーグ監督

スピルバーグ監督は30周年記念ブルーレイとDVDに収録されたインタビューで、1977年の「未知との遭遇」を制作中に、宇宙人が母船に置いていかれるというストーリーを思いつき、そこへ両親が離婚した幼い子どもの心情というテーマを絡めたと語っている。監督自身、15歳の時に両親の離婚を経験しており、この作品は「私が監督として手掛けた中で最も個人的な作品」だったという。

同監督はまた、トーマスさんと妹のガーティーを演じたドリュー・バリモアさん(当時6歳)、兄マイケル役のロバート・マクノートンさん(同15歳)の3人の子どもと過ごすうち、自分も父親になりたいと思うようになったとも打ち明けた。

1982年6月に仏カンヌ映画祭で開かれたプレミア上映会では、称賛の電報が何通も届き、何よりもフランスのフランソワ・トリュフォー監督から称賛されたことが印象深かったとスピルバーグ監督。米ホワイトハウスで開かれた上映会では、隣に座ったレーガン米大統領(当時)が、「口を大きく開けて目を見開いて、まるで10歳の少年のような表情だった」と振り返っている。

トーマスさんは、「撮影中は、この映画がこれほどの成功を収めるとは思っていなかった。10年ほど前になってやっと、『E.T.』はこれからもずっと残り続ける作品だと気付いた」と話している。

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