(CNN) カナダの十代の少女アマンダ・トッドさんは、動画投稿サイト「ユーチューブ」にいじめの悩みを告白する動画を投稿した。この動画は音のない白黒の動画で、アマンダさんの顔ははっきりと見えないが、彼女は黒マーカーでメッセージが書かれたカードの束を持っており、そのカードを1枚ずつめくっていく。そしてこのカード1枚1枚に、アマンダさんが経験した苦悩が書かれている。
アマンダさんは中学1年の時、友達とウェブカメラで自分の姿をインターネット上に公開したところ注目を集め、「かわいい」「魅力的」などの称賛の声が寄せられた。
その中に裸が見たいという声があったので、アマンダさんは1年後にその要望に応えた。すると交流サイト「フェイスブック」上で、知らない人から、もっと見せないと彼女のトップレスの写真を公開すると脅された。その人物は、アマンダさんのメールアドレスから、学校、親戚、友人、家族なども知っていたという。
そしてクリスマスに彼女の家に警察がやってきて、彼女の複数の写真が「全員」に送付されたとアマンダさんに告げた。
アマンダさんは、極度の不安からうつ病やパニック障害を発症した。その後、彼女は引っ越したが、アルコールや薬物に手を出すようになった。彼女は不安で1年間ほとんど外出できなかったという。
その後、同じ男が再びフェイスブック上に現れ、彼女のトップレスの写真をプロフィル写真として掲載した。アマンダさんは周りからからかわれ、ついに自傷行為を行うようになる。
しかし1カ月後、アマンダさんは年上の男性と連絡を取り始める。その男性には恋人がいたが、アマンダさんは男性から愛されていると思っていた。そしてある日、男性から恋人が休暇でいないので会いに来ないかと誘われる。
「私は彼に会いに行った。でも、それは大きな間違いだった。愛してくれていると思っていたのに」とカードには書かれている。
男性に会った1週間後、男性の恋人が15人の仲間とともにアマンダさんの学校に現れた。その恋人は、大勢の前でアマンダさんに向かって誰もアマンダさんなど愛していないと叫んだ。そしてアマンダさんは殴られ、地面に叩きつけられた。教師たちが出てきたが、アマンダさんは父親が彼女を発見するまで溝の中に横たわっていた。
帰宅したアマンダさんを待っていたのは、フェイスブック上に書かれた「当然の報いだ」や「死ねばいいのに」などの心ない言葉だった。それを見たアマンダさんは、漂白剤を飲んで病院に運ばれた。
アマンダさんは母親と引っ越し、別の学校に転校した。しかし過去からは逃れられなかった。半年が過ぎても、ネット上には漂白剤や溝の写真が投稿され続けた。
アマンダさんの不安や自傷行為はさらに悪化した。カウンセリングを受けたり、抗うつ剤なども飲んだりしたが、薬の過剰摂取で再び病院に運ばれた。
動画の最後の数枚のカードには「私には誰もいない」「誰か助けて」「私の名前はアマンダ・トッド」と書かれていた。
この動画は多くの注目を集め、ブリティッシュコロンビア州のクラーク首相の目にも止まった。クラーク首相は11日、ユーチューブに動画を投稿し、「いじめは止めなければならない。すべての子どもが安心して学校に通えるようにする必要がある」と訴えた。
10日、アマンダさんは自宅で、遺体となって発見された。自殺だった。彼女はまだ15歳だった。
少女がユーチューブでいじめ告白、自殺