イラクの原油生産量、20年までに倍増 世界2位も視野に

2012.10.11 Thu posted at 19:09 JST

ロンドン(CNNMoney) 国際エネルギー機関(IEA)は11日までに、イラクの原油生産量が2020年までに倍増して日量610万バレルに達し、35年までには800万バレル以上となりロシアを抜いて世界2位の産油国に浮上するとの見通しを示した。世界最多の生産国は現在、サウジアラビアとなっている。

イラクの現在の日量は約300万バレル。生産量の激増については、イラク南部に広範に存在する油田地帯の将来性などが要因と指摘。これら油田の主要な輸出先は中国のほか、アジアの新興国となっている。

IEAは世界のエネルギー見通しの特別報告書で、イラクの原油生産量の急激な増加は年間当たり2000億米ドル(約15兆6000億円)の歳入増をもたらし、同国の経済構造を変貌(へんぼう)させるだろうと予測。世界の原油市場だけでなく、世界経済の行方にも大きな影響を与えるだろうとした。

原油輸出による歳入はイラク経済の72%を占める。サウジでのこの比率は52%超となっている。

イラクは石油輸出国機構(OPEC)加盟国の中では、イランを抜き2位となった。核開発問題で欧米と厳しく対立するイランは経済制裁の影響もあり、原油生産量が停滞している。

IEAはただ、イラクの将来の原油生産量の増加は保証されたものでなく、原油や天然ガスの生産量や電力供給量で目標数値を達成するためには2035年までエネルギー基盤施設の整備で5300億ドルの投資が必要と予想。この投資が遅滞すれば世界市場への供給量が減り、35年までには1バレル当たりの原油価格が15ドル上昇する可能性があるとも警告した。

イラクでは現在、政府とエクソンモービル、BP、シェブロン、トータルなどのエネルギー大手が協力して既存の原油生産設備の改善、修理や新規油田の開発に当たっている。

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