(CNN) 我々が映画「007」シリーズを愛する理由には事欠かない。ハンサムな俳優に美しい女優、いかしたハイテク機器に非道な悪役、興奮する追跡シーンに命懸けのスタント。そして何より、主役のジェームズ・ボンドが訪れる世界各地の見事な景色だ。「007」シリーズほど、見終わった後に世界を旅したくなる映画は他にない。
今から50年前の1962年10月5日にシリーズ第1弾「007 ドクター・ノオ」がロンドンで上映されたことにちなみ、今年の10月5日は国際ジェームズ・ボンド・デーと定められた。また11月9日にはシリーズ最新作「スカイフォール」が全米公開される。そこで今回は、シリーズの印象的なシーンが撮影された世界のロケ地を007にちなんで7カ所紹介する。
トルコ
トルコでは、いくつかの場所で最新作「スカイフォール」の撮影が行われた。同映画の製作総指揮を務めるカラム・マクドゥガル氏は「トルコは東洋と西洋が交差する場所。イスタンブールの持つさまざまな色彩や活力は映画の背景として最適だ。またグランドバザールのような素晴らしいロケ地も沢山ある」と語る。
グランドバザールは1461年から旅行者必見の観光名所であり、550年以上たった今も毎日およそ50万人が訪れる。また、トルコ南部の都市アダナにあるヴァルダ鉄道橋や、地中海沿岸の都市フェトヒエ近くでも撮影が行われた。
ブレゲンツ(オーストリア)
ジェームズ・ボンドシリーズのプロデューサーたちは、2007年に コンスタンス湖(ボーデン湖)の湖上舞台で上演されたプッチーニ作曲のオペラ「トスカ」に感動し、ぜひ映画の1シーンに使いたいと考えた。その結果、「慰めの報酬」(2008年)には、ヨハネス・ライアッカーが設計した見開いた目のような「トスカ」のセットの下で、主演のダニエル・クレイグが悪人らを追跡するシーンが盛り込まれた。
オーストリア西部の都市ブレゲンツは、湖上舞台に隣接するフェスティバル・ハウスなどの現代建築で知られる。湖上舞台とフェスティバル・ハウスを訪れるガイド付きツアーは1年中行われている。
キーウェスト(米フロリダ州)
「消されたライセンス」(1989年)の冒頭のシーンで、ティモシー・ダルトン演じるジェームズ・ボンドは、親友のCIA(米中央情報局)工作員フェリックス・ライター(デヴィッド・ヘディソン)とともにパラシュートでフェリックスの結婚式会場に降下する。このシーンが撮影されたのは、キーウェストにあるセント・メアリー・スター・オブ・ザ・シー・カトリック教会だ。
キーウェスト周辺では、セブンマイルブリッジでもカーチェイスのシーンが撮影された。また映画の中でボンドがM(ロバート・ブラウン)に殺人許可証を剥奪された場所は、作家アーネスト・ヘミングウェイが晩年を過ごした「ヘミングウェイの家」だ。
バハマ
ボンドは映画の中で何度もバハマを訪れているが、中でも最も印象的なのはショーン・コネリー主演の「サンダーボール作戦」(1965年)で見られるエグズーマ諸島の海中洞窟での戦闘シーンだ。この映画が上映されて以来、この洞窟はサンダーボール・グロット(洞窟)と名付けられた。
パリ
「美しき獲物たち」(1985年)には、エッフェル塔で撮影された印象的なシーンがある。ロジャー・ムーア演じるボンドがグレース・ジョーンズ演じるメイデイを追い、つらそうな表情でエッフェル塔の階段を上るが、結局メイデイは頂上からパラシュートで降下してしまう。
体力に自信のある方は、地上から704段の階段を登って2階に行き、そこからエレベーターで最上階まで上がると、そこに素晴らしい景色が見渡せるシャンパン・バーがある。
シルトホルン(スイス)
「女王陛下の007」(1969年)では、スイスのベルニーズ・アルプスにあるシルトホルン(標高2970メートル)で、悪役ブロフェルド(テリー・サバラス)に追われるボンド(ジョージ・レーゼンビー)がスキーで、猛スピードで滑り降りる。これは、映画史上最も素晴らしいスキーチェイスシーンの1つだ。シルトホルンにある世界初の回転レストラン「ピッツ・グロリア」に撮影時の資料が展示されている。この映画の中で、ピッツ・グロリアはプロフェルドのアジトであるブルーシャン・アレルギー研究所として使用された。
アウユイットゥク国立公園(カナダ)
「私を愛したスパイ」(1977年)のオープニングシーンでは、ロジャー・ムーア演じるボンドがスキーを履いたまま山の端からジャンプする。すると英国国旗のパラシュートが開き、ボンドは安全な場所に着地する。「特殊効果は一切使わず、すべて実際にやっている」とマクドゥガル氏は語る。
この名シーンは、カナダのバフィン島のアウユイットゥク国立公園内にあるアスガルド山(標高約2000メートル)で撮影された。