米企業で進む世代交代、時代に合わせて仕事場も変化

未来の仕事場はこんなに開放的?

2012.11.19 Mon posted at 17:57 JST

(CNN) 米国では1979~1997年生まれの「Y世代」と呼ばれる働き手の数が増える一方、これまで企業を支えていた1946~64年生まれの「ベビーブーマー」が職場を離れつつある。こうした世代交代の動きが進めば、フォーマルな会議室は消え去り、開放的なスペースが増えるなど、仕事場の風景も大きく変わりそうだ。

米オフィス用家具大手Knollで職場関連の調査部門のシニアディレクターを務めるマイケル・オニール氏は「米国では大規模な世代交代が起こっている。ベビーブーマーが職場を去りつつあるが、これはつまり、我々は職場というものを考え直す必要があるということだ」と指摘する。

同社が2010年に発表したリポートによれば、向こう10年の間に、ベビーブーマーが約50%、Y世代が25%というこれまでの職場の中の人口比が逆転し、ベビーブーマーが25%、Y世代が50%になるという。

オニール氏は、新世代の労働者に対応して彼らを引きつけるためには仕事場がどのように変化する必要があるのか把握しようと、4世代にわたる1万5000人超を対象に仕事のパターンや好みについて40カ国で調査を実施した。

それによれば、Y世代は、「魅力のある仕事場」を最も重視し、「会議室の質」については最も重視しなかった。一方、ベビーブーマーはこの逆で、「会議室の質」を最も重視していた。

オニール氏は「ベビーブーマーは、しっかりと準備した、顔と顔を直接合わせた会議を好む」と指摘。そのために、会議室の質が重要になるという。

一方、Y世代は逆で、時間がかからず、カジュアルで、交流サイト(SNS)的な会議を好む。そのため、情報交換にはテクノロジーを使い、会議の長さやフォーマルな空間というものを重要視しない。

Y世代にとっての魅力のある仕事場は、プライベートな生活も交じり合ったものであり、仕事場が住居や自室のように感じられることが好まれる。オニール氏によれば、ベビーブーマーは逆に、職場に我が家を想起させるようなスペースは期待していないし、望んでもいないという。さらに、ベビーブーマーが重視するのは、機能性や効率性だ。

それでは、未来の職場では、仕事はどのようなものになるのだろうか。

未来の仕事についての著書があるアリソン・メートランド氏は「仕事が、場所ではなく、働き方だという考え方が出てきている」と指摘。「そこでは、協同と技術革新が重要視され、専用の机を持った人はおらず、従業員は、与えられた時間で最も作業しやすい場所へ移動して働くよう求められる」と説明する。

ただ、メートランド氏は、世代交代について、人々に新しい働き方を促す様々な要因の一つに過ぎないと強調する。新しい働き方は、科学技術や経済、ビジネスの変化をも反映したものだ。

Knollのオニール氏は、「かつては、ある一定数の人々のためのオフィスビルを大量生産する方程式が存在した。しかし、今では、デザイナーは、各企業のやり方や方向性に合わせて、より多様な部屋を作るようになった。たとえば、よりオープンな会議室や通路の近くにあるラウンジといった具合だ。つまり、これは、『私の仕事場』から『私たちの仕事場』へと変化したことを示している」と語る。

Y世代には携帯端末が利用できるかどうかといったことが重要になる

しかし、職場の仕切りを全て取り壊すことは、ベビーブーマーにとっては難題だ。ベビーブーマーにとって、周囲と区切られたオフィスは成功の証しであり、キャリアを通じて自分だけのオフィスを獲得しようと努力してきたからだ。

オニール氏によれば、Y世代にとっての成功の証しは、新型の「iPad(アイパッド)」を持っているかどうかや、自由度の高さにあるという。

では、企業はこうした世代間の違いをどうやって乗り越えていけばいいのだろうか。

女性の雇用機会の拡大などに取り組んでいる米非営利団体(NPO)カタリストで調査部門のシニアディレクターを務めるローラ・サバティーニ氏は、「仕事場に目を向け、従業員が何を欲しているか気をつけることだ」と指摘。個別の集団ごとに評価を行うことが包括的な労働力を生み出す第一歩だとの見方を示した。

メートランド氏も同意見だ。「3世代、4世代にわたる従業員のいる会社は、働き方の違いや好みについて、十分に検討する必要がある。Y世代にだけ合わせた対応を行うことが最も生産的な方法とはいえず、しっぺ返しを食らうこともあるだろう」

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