トルコ領内にシリアから砲弾、5人死亡 トルコが報復攻撃

トルコのエルドアン首相

2012.10.04 Thu posted at 10:23 JST

(CNN) トルコ首相府は3日、シリアとの国境に面した町アクチャカレがシリア側からの砲撃を受け、民間人5人が死亡したと発表、この報復としてシリアの目標を砲撃したことを明らかにした。両国の間では、シリア政府による反体制派の弾圧をめぐり、緊張が高まっていた。

トルコ首相府は、アクチャカレに着弾したのはシリア政府軍の砲弾だったと初めて言明。これに対して国境に展開するトルコ軍部隊が交戦規則に則って直ちに応戦し、レーダーがとらえたシリア内の目標を砲撃したと述べ、「トルコは交戦規則と国際法の範囲内で、我が国の安全に対するこの種の挑発行為に対峙せずにはおかない」と強調した。

アクチャカレ市長によると、砲撃は民家に着弾し、子ども3人とその母親、近所に住む女性の計5人が死亡、警察官2人を含む数人が負傷したという。

一方、シリアの国営シリア・アラブ通信は、シリア政府が犠牲者の遺族とトルコ国民に哀悼の意を表したと報道。砲弾の出所を調査中だと伝えた。

シリア情報相は、「シリアとトルコの国境は、無法テロ集団が国境沿いに散在しているという点で特異な状況にある」と語った。

シリア反体制派によると、トルコからの砲弾は、北部ラッカ県にある政府軍の施設に着弾したという。トルコ側では軍による国境警備が強化されたとしている。

内戦を逃れ避難してきたシリアの子どもたち

今回の事態を受けて北大西洋条約機構(NATO)加盟国の最高意思決定機関、北大西洋理事会は緊急理事会を開き、「シリア政府に対し、国際法に違反する行為の停止を求める」と述べた。

国連報道官によれば、トルコ外相は国連の潘基文(パンギムン)事務総長に電話で「深い憂慮の念」を伝えてきた。同国からは3日にシリアの目標を砲撃する前に、NATOと国連に連絡があったという。

潘事務総長は「シリアからの砲撃がトルコの町に着弾した今回の事態は、シリアの内戦がシリア国民の安全を脅かすにとどまらず、近隣国の被害の拡大も招いていることを改めて示すものだ」との声明を発表し、シリアに対して隣国の領土の保全を尊重するよう求めた。

国連安全保障理事会は、この問題について非公開の協議を行った。

米国防総省高官は、ある程度の懸念を持って事態を見守っているとしながらも、「現時点で国境の衝突が激化する兆候はない」との見方を示し、両国とも衝突の激化は望んでいないと指摘。「そのような衝突が起きれば、トルコの方がシリアよりも失うものは多い。トルコは既に、シリアからの難民問題を抱えており、衝突によって事態はさらに悪化する」「シリアも今現在、多くの問題を抱えているため、政府はこれ以上問題が増えることを望んでいない」と分析している。

トルコの町にシリアから砲弾

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