イランがシリアの化学兵器支援、ヒズボラの入手も容易か

シリア反体制派が化学兵器の保管施設としてユーチューブに掲載したビデオ画像

2012.09.29 Sat posted at 16:20 JST

(CNN) 内戦状態にあるシリアが保有する化学兵器の問題で、同国軍の元少将は29日までに、同盟国であるイランの技術者が化学兵器の開発を支援していると述べた。CNNに明らかにしたもので、元少将はシリア軍で化学兵器部門の幹部を務めていたとしている。

シリアの化学兵器については国内の戦闘激化で管理や移動、使用への懸念が強まっているが、アドナン・シルル元少将はアサド政権がレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへ化学兵器を引き渡すことは容易だとも強調した。ヒズボラは2006年、イスラエルと交戦している。シリアとイランはヒズボラに資金や武器援助しているともされる。

シルル元少将は反体制派に転じてトルコに逃れ、CNNとの電話会見に応じた。元少将はこの中で、シリア北部アレッポ市近くのアルサフィールに化学兵器開発の施設があり、シリアとイランが共同研究を実施していると聞いたことがあると指摘。アレッポ市にはスカッドミサイルの基地やトンネルがあるとも述べた。

シリアの化学兵器の多くは毒ガスを用いたもので、この開発関連施設ではサリンやマスタードガス、神経ガスを用いた手りゅう弾の実験が行われていると明らかにした。また、首都ダマスカスから南西に離れた地点には化学兵器大隊の本部があるとも証言。大隊の司令官は過去にイランや北朝鮮を複数回訪れ、毒性物質に対する防護服や化学関連機器を購入したとしている。

シリア反体制派が化学兵器の保管施設としてユーチューブに掲載したビデオ画像

シリア政府はこれまで化学兵器の管理が脅威を受けたり、配備されたりした事実はないと再三主張。ただ、シルル元少将は反体制派の武装組織「自由シリア軍」がアレッポのような大都市を掌握したら、アサド政権は化学兵器の使用をためらわないだろうと主張した。

シリアの活動家らは最近、動画投稿サイト「ユーチューブ」に化学兵器の保管施設などとする複数の画像を載せ、反体制派内で同兵器への懸念が強まっていることをうかがわせている。7月に最初に掲載された画像は衛星写真閲覧ソフト「グーグルアース」を使用したもので、語り手は化学兵器やミサイルが保管、製造されているとする場所と説明した。真偽は不明。

別の画像は、大規模な軍事空港が位置するダマスカス南西部にある軍事施設に言及。語り手は、化学兵器保管施設は地下トンネルを通じ空港と結ばれているとし、施設にはさまざまなサイズの化学爆弾があり、その大きさは手りゅう弾から大型ロケットまでに及ぶと主張した。ただ、シルル元少将はこの施設の存在を疑問視している。

シリアの化学兵器の問題では、米国のオバマ大統領が今年8月20日、アサド政権に対し「超えてはいけない一線がある。兵器の移動や使用である」と警告し、無視された場合、強硬措置に転じる可能性に言及していた。

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