中学生が飛ばした気球、成層圏からの写真撮影に成功 米国

中学2年生が飛ばした気球は成層圏まで到達=ジャック・マイロン君提供

2012.09.24 Mon posted at 16:01 JST

(CNN) 米ニューハンプシャー州に住む中学生が、手製の気象観測気球に人形とカメラを乗せて高度11万フィート(約3万3000メートル)の成層圏まで到達させ、大気圏のデータ収集と、地球の曲線をとらえた美しい写真の撮影に成功した。

観測気球を飛ばしたのは同州ベッドフォードのジャック・マイロン君(14)。学校の科学の課題として気象観測気球を作り、お気に入りの組み立て玩具「レゴ」の人形と観測機材を搭載した。

プロジェクト成功のために克服すべき課題の研究には4週間をかけた。できるだけ高く飛ばすため、積み荷の重さとのバランスを考慮して気球のヘリウム密度を計算。大気圏上層の気温がセ氏マイナス55度まで下がることもあると知り、カメラのバッテリーの液晶を温めるためのカイロも添えた。

ジェット気流に乗って気球が流されてしまう可能性を考慮して、打ち上げは8月25日と決めた。コロンビア大学の専門家によれば、夏の間はジェット気流が弱く、北向きの上昇気流になる。しかしジェット気流を避けながらこれほどの高度まで気球を飛ばすには、綿密な研究に基づく計算を行って、適切な条件を見極める必要があるという。

マイロン君はフェンシングや読書も好きだという

マイロン君は母親の車の座席に取り付けた双眼鏡とiPadとノートPCを使って、気球の位置をリアルタイムで観測。成層圏に到達した気球は気圧の低下に伴って破裂したが、機材はパラシュートで降下させ、地面に落下した。全地球測位システム(GPS)が途中故障して位置が分からなくなったが、同州の住民が道路に落ちている機器を見つけて警察に通報。マイロン君と母親が駆けつけて無事回収した。

10秒ごとに撮影するよう設定しておいたカメラは、地平線から太陽の光が差す場面など、1000枚以上の写真を撮影していた。

マイロン君は知らなかったが、同様の気球技術は米航空宇宙局(NASA)の望遠鏡や火星や金星の大気の研究用にも使われており、「国の気象観測気球でも普通はここまでの高度には到達できない」と専門家も舌を巻いている。

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