「コーラン焼却」で拘束のキリスト教徒の少女を保釈 パキスタン

2012.09.09 Sun posted at 10:03 JST

イスラマバード(CNN) パキスタンの首都イスラマバード郊外に住むキリスト教徒の少女が、イスラム教の聖典「コーラン」を焼却したとして拘束されていた問題で、同国当局は8日、この少女を保釈した。

少女はリムシャさん(14)。北東部ラワルピンディの刑務所から装甲人員輸送車に乗せられ、さらにヘリコプターで非公開の場所へ運ばれた。少女の顔は緑色の布で覆われていたが、ヘリの風で布が一瞬舞い上がると、悲しみと恐怖に満ちた表情がのぞいた。

家族の代理人によれば、リムシャさんの父親が刑務所を訪れると、リムシャさんは父親に抱きついて泣き出し、「何が起きているの、どうして」と尋ねた。父親とは拘束以来、会っていなかったという。

同代理人によると、カナダやイタリア、米国など複数の国が、リムシャさんと家族の受け入れを申し出たが、一家は国内にとどまることを望んでいる。

保釈は裁判所が7日に決定していた。リムシャさんの弁護士は法廷で、リムシャさんに知的発達の遅れがあり、罪の意識はなかったとの主張を展開。地元イスラム教指導者のわなにかけられたと述べた。これに対して指導者側の弁護士は、少女の年齢にかかわらずコーラン焼却の罪を問うべきだと主張していた。

少女の家族はイスラム教徒の報復を恐れて避難した。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、近隣のキリスト教徒数百人も別の場所へ避難しているという。

リムシャさんは8月、調理の燃料にするためにコーランを焼いたとして、母親とともに拘束された。一方イスラム教指導者は、リムシャさんを冒とくの罪に陥れる目的でコーランのページを破り証拠を捏造(ねつぞう)したとして、今月初めに冒とく容疑で拘束されていた。

アムネスティ・インターナショナルはリムシャさんの保釈を歓迎したうえで、一家や近隣のキリスト教徒は依然として危険にさらされていると指摘。同様の事態の再発を防ぐため、同国当局は反冒とく法の改革を急ぐべきだと訴えた。

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