(CNN) 米カリフォルニア州ヨセミテ国立公園を訪れた観光客が重篤な肺の疾患などを引き起こす「ハンタウイルス」に感染し、死亡者も出ていた問題で、米疾病対策センター(CDC)は5日、この夏に同国立公園内の宿泊施設を利用した39カ国の旅行者に注意を呼びかける書面を電子メールもしくは郵便で送ったと発表した。
CDCによれば、対象となったのは今年7月10日から8月24日にかけてヨセミテ国立公園内のカレービレッジにある「シグネチャー・テント・キャビン」に宿泊予約をした約2900人。自分や同行者にハンタウイルス肺症候群(HPS)の症状が見られた場合はすぐに医師の診察を受けるよう求める内容で、感染の恐れがあるのは同行者も含め推計1万人に上るという。
カリフォルニア州保健当局は先月30日、ヨセミテ国立公園でこれまでに6件のハンタウイルス感染例が報告されたと発表。うち2人は死亡した。
ハンタウイルスはHPSなどを引き起こし、致死率は3人に1人に及ぶ。HPSの症状は発熱や寒気、頭痛、消化器系のトラブル、筋肉痛、疲労感などで、人から人へは感染しないという。潜伏期間は数日から6週間だが、2~4週間の間に発症することが多い。
米疾病対策センター(CDC)によると、ネズミなどのふん尿にウイルスが存在し、人に空気感染する。特定の治療法は確立されていないが、早期治療が重要だという。
ヨセミテ国立公園では、2000年と10年にそれぞれ1人のハンタウイルスの感染者が出ていた。