(CNN) 国際テロ組織アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者の暗殺作戦に参加した米海軍特殊部隊の元隊員が作戦の詳細などを描いた書籍「No Easy Day」の出版が、世界中で話題となっている。
パブリッシャーズ・ウイークリー誌最新号によれば、反響の大きさを受けて出版元のダットン社は初版部数を30万部から57万5000部に増やしたという。
発売を前に本に目を通したCNNのテロ問題のアナリスト、ピーター・バーゲンによれば、ビンラディン暗殺作戦を扱った他の本に比べ、「はるかに信頼が置ける」内容だという。
一方、米国防総省と米中央情報局(CIA)は現在、情報源や作戦技術に関する機密情報が含まれていないか本の内容をチェックしている。この本の出版は、米軍上層部にとっても寝耳に水の出来事だったようだ。
また国防総省は守秘義務に違反し連邦法を破ったとして、元隊員に対して法的措置を検討していることを明らかにしている。
アトランティック誌によれば、同書はオバマ政権に批判的な内容になっているという。だがCBSのインタビューで元隊員は「本は政治と全く関係がない」と否定。「民主・共和両党の議員が政治問題にしようとするなら恥を知るべきだ」と述べている。
ちなみに元隊員はペンネームを使ってこの本を書き、国防総省も本人の身の安全のために実名報道は控えるよう報道各社に求めていた。たが米フォックステレビが元隊員はアラスカ出身のマット・ビゾネット氏(36)だと報道。CBSも29日夜に本人のインタビュー映像を放送したため、CNNも実名報道に踏み切った。