ビンラディン殺害の内幕明かす書物出版、作戦参加の米兵執筆

パキスタン北部アボタバードにあったビンラディン容疑者の潜伏先

2012.08.23 Thu posted at 16:57 JST

(CNN) 国際テロ組織アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者が昨年5月、パキスタン北部の潜伏先で米海軍特殊部隊SEALの急襲で殺害された事件で、米国の出版社は22日、この作戦に直接参加した同部隊の隊員が作戦実行の模様などを明かした書物を今年9月11日に出版すると発表した。

書物の題名は「No Easy Day:The Firsthand Account of the Mission That Killed Osama bin Laden」。出版大手ペンギン・グループの米国子会社の宣伝担当企業によると、隊員はペンネームを使って執筆した。

米国防総省当局者によると、この隊員は既に一線の現場からは離れている。米特殊作戦司令部は書物の内容を精査しておらず、出版も許可していない。隊員の書物出版の話は最近知り、ビンラディン容疑者暗殺だけでなく訓練や他の作戦に触れた箇所もあるとの説明を受けたという。

機密情報が盛り込まれたり、作戦に従事した隊員らが提供した情報が含まれていたりしないかを確認するため書物の内容のコピーを求めている。書物の出版で得た利益は慈善活動に寄付するとも言われたという。

ビンラディン容疑者の暗殺作戦は昨年5月2日、パキスタン北部アボタバードの3階建ての隠れ家で起きたもので、20人以上の特殊部隊兵士やヘリコプター2機が参加した。背の高い男が敷地内を散歩しているとの情報を再三入手し、男がビンラディン容疑者であることを示す十分な証拠があるとして作戦に踏み切っていた。

同容疑者は3階の部屋にイエメン出身の妻、複数の子どもと一緒にいるところを襲われ、室内にあった武器を取りにいくような動きを見せた際、胸と頭部を撃たれていた。

オバマ米大統領はビンラディン容疑者殺害後、作戦に参加したケンタッキー州フォートキャンベル基地所属のSEAL「チームシックス」の一部の隊員と面会していた。ただ、同チームの隊員15人は3カ月後、アフガニスタン内で起きたヘリ墜落で死亡した。

ビンラディン容疑者の暗殺作戦は映画化も進み、今年11月の米大統領選前に上映されるとの情報もあった。しかし、野党・共和党の議員が大統領選でオバマ氏に有利な宣伝材料になると反発し、上映は12月まで見送られた。

この映画の監督は、イラク駐留米軍の爆弾処理班の兵士を描いた映画「ハート・ロッカー」で2008年にアカデミー賞を受賞したキャスリン・ビグロー氏が務めている。

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