ヘンリー王子の全裸写真、英メディアが沈黙する理由

ヘンリー王子

2012.08.23 Thu posted at 10:29 JST

(CNN) 英ヘンリー王子の全裸姿とされる写真が米芸能情報サイトのTMZに掲載された問題で、英王室は23日までに写真に写っているのがヘンリー王子であることを確認した。一方、英国のメディアは当初、紙面でも電子版でも、この問題についてほとんど報じていなかった。

英国の新聞で王室取材を担当するロバート・ジョンソン記者によると、王室はヘンリー王子の写真を確認するに当たって英国内の報道機関に対し、写真が撮影された米ラスベガスのホテルのスイートルームは、本来ならプライバシーが尊重されるべき場所だったと強調した。

英国の報道苦情処理委員会の倫理規定には、「私的な場所で本人の同意なく個人の写真を撮ってはならない」と定めた条項がある。問題の写真を掲載すれば、明らかにこの規定に違反することになる。このため英国の新聞は身動きが取れなくなり、デジタルメディアに出し抜かれる形になった。

この経緯についてジョンソン氏は「世界中の読者がインターネットで問題の写真を見られるのに、英国の新聞だけこれに触れないのは馬鹿馬鹿しく思える」と指摘、税金を払っている英国民は王室一家の動向について知る権利があるとも付け加えた。

インターネットでうわさが広まったことを受け、英国のメディアでもようやく問題の写真を手配する動きが出ているという。しかし、たとえ掲載に踏み切ったとしても、かつてとは形勢が逆転し、新聞がインターネットメディアの後追いを強いられるようになったことは明らかだとジョンソン氏はみる。

「ただでさえ新聞の販売が落ち込んでいる中で、自主規制に縛られていては無防備な状態が続き、反応が遅いという印象を与えてしまう」と同氏は述べ、「新しい世代は新しいニュースを制約なしで即座に欲しがっている。新聞がこの世代の読者に見限られたくなければ、少なくともソーシャルメディアとニュースメディアに対抗しなければならない」と訴える。

ヘンリー王子については、うっかり気を許した相手に裏切られたことには同情するとコメント。ホテルの自室ならプライバシーが守られると思ったのかもしれないが、ラスベガスは、特に世界有数の有名人にとって、トラブル以外に何も期待できない場所だという実態は知っておくべきだったと釘を刺した。

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