(CNN) シリア軍の元兵士で結成する反体制派武装組織「自由シリア軍」は18日、ファルーク・シャラ副大統領がアサド政権を離脱したと述べた。
一方、シリアの国営テレビは副大統領府が出した声明を伝え、シャラ副大統領はいかなる時でも母国を離れることを考慮したことはないと報じ、自由シリア軍の発表を否定している。
同副大統領の離反が本当なら、アサド政権を見限った政府高官では最高位の人物となる。自由シリア軍の報道担当者によると、シャラ氏は1週間前以上に首都ダマスカスを離れて南部ダルアに入った。ダルアでは親族や側近、地方行政当局者らの身の保全の確保に当たったという。
副大統領はダルア県出身。同県はヨルダンとの国境に接し、昨年3月から本格化した反政府デモの主要な舞台となり、アサド政権は厳しい弾圧を続けていた。
自由シリア軍は、アサド政権はシャラ氏を出国前に暗殺するため同県で攻撃を最近強化したとも主張。シャラ氏は政権を見放したと言い切り、「同氏をヨルダンへ逃がすことを試みている」とも説明した。
反体制派「地域調整委員会」の報道担当者は、シャラ副大統領の離脱が事実なら、アサド政権の崩壊が極めて早く進んでいることを示唆すると指摘。今後数日内に軍や政権内で新たな離反者が出ることが予想されると述べた。
シリア政府内では過去数週間、高官らの離反が続出。ヒジャブ首相や政府軍の精鋭部隊「共和国防衛隊」のトラス将官らがアサド政権を見限っていた。両者は共に反体制派の大半を占めるイスラム教スンニ派教徒となっている。
シャラ副大統領はヒジャブ首相らと比べ、政府内でより影響力を持つ人物だけに離反が本当ならアサド政権に大きな衝撃を与えるとみられる。シャラ氏はアサド政権や父親のハフェズ・アサド大統領時代を通じて外相を20年以上務め、2006年に副大統領に就任していた。
シャラ氏は、シリア問題の調停に当たる国連とアラブ連盟のアナン合同特使やシリアを訪れる他の外国政府要人との協議の窓口役も務めていた。