(CNN) 米女優のジェニファー・アニストンさんがこのほど、俳優ジャスティン・セローさんと婚約した。このニュースに世界中の女性が強い関心を持っているように思える。なぜそれほど気になるのか。
その背景としてまず、セレブの動向はマスコミで集中的に報じられ、本人たちもそれに進んで身をさらしている点があげられる。「スター」は華やかな雲の上のような存在から、ツイッターでフォローする「友人」になった。テレビを付ければ有名人のゲストが悲しそう、あるいは残念そうな様子で自分の恋愛の失敗について語っている。
アニストンさんのような女性は自分の友人や、友人の友人のような存在になっている。スターと自分たちを隔てていた壁は越えられるものになり、セレブは身近な存在になった。相手はもはやスターとしてのジェニファー・アニストンではなく、まるで仲間うちの1人であるかのように、友人たちとうわさしていたジェニファーだ。
だが実際にはアニストンさんは友人ではない。にもかかわらず女性たちに関心を持たれる理由は2つある。まず第1に、彼女のつらい過去をよく知っていて、それを自分に重ね合わせるためだ。アニストンさんは俳優のブラッド・ピットさんと離婚し、ピットさんは女優のアンジェリーナ・ジョリーさんと結婚のうわさが伝えられている。
1人の相手を強く愛し、互いに誓いを交わしておきながら、その相手を別の愛人に奪われる――。しかもその愛人は美しく才能にあふれ、欲しいものはすべて手に入れるという女性だ。恋に破れた経験を持たない女性は極めて少ない。そうした女性がアニストンさんに同情し、自分のことであるかのような思いを抱く。
第2に、アニストンさんの人生をたどることは自分にとっての慰めになる。あれほど可愛らしく素敵な女性でも裏切る男性がいるのなら、自分が捨てられたのも多分、あまり可愛くなかったとかセクシーさが足りなかったことが原因ではなく、男というのはただ、ほかの誰かと恋に落ちるものかもしれないと割り切れる。さまざまなセレブの恋愛ドラマをのぞき見することで、申し訳ないけれど元気付けられるのだ。
そしてアニストンさんのストーリーにはもう1つ、自分たちを奮い立たせてくれる続きがある。彼女の結婚の失敗は、自分よりずっと美しい人でさえ捨てられることがあると思い知らせるものだった。だがその女性が再び婚約できたことは、行き着く先にシンデレラストーリーが待っているかもしれないと思わせてくれる何かがある。真に自分を愛してくれる相手、一緒に家庭をつくり、安心と無条件の愛を与えてくえる相手。彼女にとっての愛が永遠に続くことを願うのは、自分たちの夢も失望を越えて最後には勝利が待っていると信じたいからだ。
一見つじつまが合わないようにも思えるが、ジェニファー・アニストンさんのことが気になるのは以上のような理由による。
いい人が負けてはいけない。正義は勝たなければいけない。もちろんジェニファーを思ってのことだが、私たちがその人生、そしてほかのセレブたちの人生を追うのは、彼らが自分たちの「仲間うち」にいるからだ。それがたとえ幻想であったとしても。
私たちはアニストンさんが行き着いたおとぎ話のような結末に自分を重ね合わせ、自分もそうありたいと願っている。