夏の定番、ビーチサンダルに潜む危険性 米専門家が指摘

2012.08.03 Fri posted at 09:00 JST

(CNN) つま先の打撲、足首のねんざ、骨折、水膨れなど、足の痛みの原因はさまざまだが、米国で、特に夏の間に足に痛みを生じさせる一般的原因としてビーチサンダル(フリップ・フロップ)が挙げられる。

米国ではビーチサンダルの愛用者は多く、ビーチに限らず、店や職場でもビーチサンダルを履いている人は多いが、足の予防衛生研究所(IPFH)の事務局長ボブ・トンプソン氏は、ビーチサンダルの使用は多くの危険を伴うと指摘する。

人間の足は、地球の自然な表面(芝生、砂、砂利)の上を裸足でも歩けるように作られているが、今日、多くの地面を覆っているコンクリート、アスファルト、鉄の上を裸足で歩けるほど丈夫にはできていない、とトンプソン氏は語る。

しかし、ビーチサンダルの薄いゴム底では、これらの人工的な地面からの衝撃をほとんど吸収できないという。

静止している時も動いている時も、足は常に地面との最初の接点になる。足と地面との接し方が、体の骨格整列に影響を与えるのだ。

サンダルのようなフラットな靴は、土踏まずを支える部分がアーチ状になっておらず、側面のサポートもなく、履いている人の姿勢にもほとんど変化がない。そのため長時間履いていると骨にずれが生じ、ひざ、腰、背中に痛みが生じる恐れがある。また足を固定するものが何もないため、転倒、足首のねんざ、骨折の原因にもなりうる。

ロサンゼルスにあるシーダーズ・サイナイ・メディカルセンターの足専門医ノレーン・オズウェル氏は、靴は足の曲がる部分が柔軟であるべきだと語る。

しかし、大半のビーチサンダルは底が全体的に柔らかく、また一部のおしゃれなサンダルは底が堅くて全く曲がらないという。

またビーチサンダルは、すでに足が危険な状態にある人にとっては特に有害とオズウェル氏は指摘する。

例えば、糖尿病患者の足は血行が悪く、感覚も乏しいため、ビーチサンダルを履くと足の負傷だけでなく感染のリスクも伴う。また平衡感覚に障害のある人は、安定性に欠けるゴム状のビーチサンダルを安心して履けないかもしれない。

さらに肥満の人が構造化されていない靴を履くと、重い体重を支えている足にさらなる負担をかけることになる。

しかしオズウェル氏も、ビーチサンダルが役立つケースがあることは認めている。例えば、スポーツクラブや市営プールのロッカールームでは、ビーチサンダルを履くことにより、菌やウイルスから足を守ることができる。また砂浜の砂が熱すぎて裸足では歩けない場合もビーチサンダルは重宝する。

しかし、ビーチサンダルの使用はなるべく控えるべきというのが専門家の意見だ。オズウェル氏も、ビーチサンダルを履くこと自体が問題なのではなく、履きすぎていることが問題と指摘する。

そんなオズウェル氏が日常的に履いているのはテニスシューズだ。「すべての人にとって最良の靴は、編み上げで形の良い良質な運動靴だ」と同氏は語る。

トンプソン氏も、つま先部分にゆとりのある自分の足にフィットした靴を履き、さらに足の水分を逃がすためにアクリルが混じったパッド入りのソックスを履くことを推奨している。

また、どうしてもビーチサンダルを履きたい人は、でこぼこした場所は避け、サンダルを脱いだら足をよく洗うよう助言している。

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