シリア最大都市で激しい戦闘続く 全土で死者114人

激しい戦闘が続くアレッポの郊外

2012.07.30 Mon posted at 10:29 JST

シリア北部(CNN) 内戦が続くシリアは29日、最大都市アレッポの掌握を目指す反体制派と政府軍の激しい戦闘が続いた。住民は車やバイクなどあらゆる手段を使ってアレッポから脱出。アラブ連盟はアレッポで戦争犯罪が犯されているとの認識を示した。

アレッポでは反体制派の猛攻を受けた政府軍が北部の基地から3方向に向けて砲撃を行い、機関銃を使って激しい銃撃戦を展開した。銃撃は周辺の村にも及び、住宅地にはロケット弾や砲弾が相次ぎ着弾している。

国連のアモス人道問題担当事務次長によると、アレッポと周辺地域からは29日までの2日間で20万人あまりが戦闘を逃れて脱出した。

アラブ連盟のアラビー事務局長は同日の声明で、アレッポ情勢について国連安全保障理事会の緊急会合開催を求める反体制派の訴えを支持すると表明。さらに、アレッポで戦争犯罪が犯されているとの認識を示した。これまでのシリア関連決議で拒否権を行使しているロシアと中国に対しては、アラブ連盟の高官が両国を訪問して姿勢の転換を促すとした。

反体制派の活動家によると、政府軍はアレッポで反体制派が制圧した地域への燃料や食料の供給を阻止しているという。活動家は「アレッポは極めて緊迫した状況にある。(反体制派の)自由シリア軍は激戦に向けた準備を整えている」と語った。

反体制派の「シリア国民評議会」の幹部はアラブ首長国連邦のアブダビで記者団に対し、「友好国や同胞国が直ちに行動を起こさなければ、アレッポで恐ろしい虐殺が起きる。反体制派は原始的な武器で戦っている。戦車や戦闘機を止められる兵器が必要だ」と述べ、安保理の枠外で反体制派を支援するよう訴えた。

一方、シリアのムアレム外相は訪問先のイランでサレヒ外相と会談し、反体制派がアレッポを掌握することはできないと強調。「(反体制派は)ダマスカスに戦闘を仕掛けて敗北した。そこでアレッポに移ってきたが、ここでも敗北は確実だ」と述べた。

シリアのテレビは、アレッポの3地域での衝突で「テロリスト」が大敗したと伝えた。

米国のパネッタ国防長官は北アフリカに向かう機内で、シリア政府軍によるアレッポ弾圧は、アサド政権からのさらなる離反者を招き、アサド大統領が自らに追い打ちをかけることになると強調している。

アレッポ以外の地域でも戦闘は続いており、反体制派の「地域調整委員会」によると、首都ダマスカス周辺で少なくとも41人、南西部ダルアで33人が死亡するなど、シリア全土でこの日の死者は114人に上っている。

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