インド保護区で「トラ観光」を一時的に全面中止、最高裁命令

2012.07.27 Fri posted at 10:45 JST

香港(CNN) インドの最高裁判所は26日までに、トラの保護区内の主要な地域で全ての観光活動の一時的な中止を命じた。

エコツーリズムは絶滅が危惧(きぐ)される生物種の保護区や繁殖活動に支障を与えているとする地元の環境保護団体の異議申し立てを受けた決定。

最高裁は8月22日に最終的な判断を示す見通しで、保護区内での観光活動が環境に与える影響の度合いなどを調べる方針。

地元紙タイムズ・オブ・インディアによると、最高裁はまた、今年4月に出した命令に従わなかった6州に対し1万ルピー(約1万4000円)の罰金を科した。

この命令では観光活動を認める地域を規制するための判断材料として、全州にトラの保護区の主要な地域と緩衝地帯の区分けを求めていた。

世界自然保護基金(WWF)によると、インドに生息するトラは現在1706頭と世界最大の個体数を持つ。ただ、密猟や生息地が狭まり20世紀初頭の10万頭以上からは激減した。

トラの保護区はインドの40カ所にある。野生の環境を保つ生息地を守るための措置で、トラの生態観察を求める観光客用のリゾート施設や村落も建設されている。

タイムズ・オブ・インディア紙によると、リゾート施設などは緩衝地帯の中だけで建設が認められている。同紙は、緩衝地帯を指定した場合、既存のリゾート施設の取り壊しなどにつながることを一部の州が懸念し、最高裁の命令に従わなかったと伝えている。

インドのエコツーリズム関連団体の幹部は、政府がトラの保護区に受け入れる観光客数は多過ぎたとし、エコツーリズムの環境重視の側面が経済優先で無視されたと指摘。緩衝地帯の設定は問題解決への1歩としながらも、問題は緩衝地帯を誰が管理するかだと主張している。

最高裁の今回の判断は、多数のトラの保護区がモンスーンの季節には閉鎖されることから即座に大きな影響は及ぼさないと受け止められている。ただ、保護区内での観光活動の禁止が本決まりとなった場合、保護区周辺で観光収入に生活を頼る地域社会が直撃を受けると予想されている。

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