サイバーテロの影響はさらに拡大 元FBI捜査官が訴え

ショーン・ヘンリー氏=BLACK HAT USA提供

2012.07.26 Thu posted at 18:27 JST

ラスベガス(CNNMoney) 米連邦捜査局(FBI)で長年サイバー犯罪捜査を指揮してきたショーン・ヘンリー氏は25日、コンピュータセキュリティ関係者が集まる米国最大級のイベント「ブラックハット」で基調演説を行い、サイバー攻撃が社会に与える影響はさらに大きくなっていると訴えた。

同氏は、米国土安全保障省が4月に発表した不正侵入事件を取り上げ、サイバー犯罪の広がりを指摘。当局の発表によれば、この事件では複数の天然ガスパイプライン会社のコンピュータネットワークにハッカーが侵入していた。ハッカーは内部の人間が出したように見せかけた電子メールを使ってターゲットに侵入したという。

「文明社会に損害を与えたければ水道や電力を絶てばいいことを敵は分かっている」とヘンリー氏は述べた。「サイバー(攻撃)を武器として利用することをネット上で呼びかけているテロ集団はいくつもある」

ショーン・ヘンリー氏=BLACK HAT USA提供

公になったサイバー攻撃は氷山の一角だとヘンリー氏は言う。同氏は米国の重要な知的財産がハッカーによって盗まれるのを目の当たりにしてきた。侵入によって倒産した企業もあるという。「あなたのデータは人質になっており、組織の命脈は危機にさらされている」と同氏は警告する。

また同氏はさらなる官民の協力や情報共有の必要性を訴えた。すでに米連邦議会では、ハッカーの侵入を許した場合の詳しい情報公開を企業に奨励または義務づけたり、送電網などのリスクの高いインフラを管理している企業に強力な防御対策を求めたりする法案が検討されている。

もっともヘンリー氏は、官民の協力がすぐに実現するとは考えていない。「サイバー攻撃が実際意味するところを目の当たりにするまでは、世間の人が(問題の深刻さを)本当に理解することはないと思う」と語った。

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