世界第2位へ浮上したファーウェイが「Mate 20 Pro」で見せる次の一手

 ファーウェイの勢いが止まらない。2018年度上半期の業績は、前年対比15%増の売上高3257億元(5兆3419億円)。次世代通信5Gの技術で、今や日本を含む世界各国のモバイル通信インフラを支援しているほか、IoTやAIといった新たな分野でも多くのグローバル企業と協業を進めている。つい先日も独アウディと、インテリジェントコネクテッドカー分野での戦略的提携を発表したばかり。両社はすでに通信と自動車の両業界にまたがる団体「5Gオートモーティブ・アソシエーション(5GAA)」の発足に携わるなど、コネクテッド・カーや自動運転の技術革新に向けて歩みはじめている。ファーウェイでは毎年、売上高の10%以上がR&Dに投じられているが、そうした積み重ねがここにきて大きく実を結びつつあると言えるだろう。

 モバイルデバイスの分野でも、快進撃は続く。2年前に投入された「HUAWEI P9」では老舗カメラメーカーである独ライカ社と協業。以降両社は共同運営の研究開発センターを設立して、ライカ基準のレンズ試験をスマートフォンにも導入するなど、スマートフォンのカメラに様々な革新をもたらしてきた。ライカのレンズを搭載したファーウェイのスマートフォンは、カメラの専門誌からアワードを贈られるなど、今日では目の肥えたカメラ愛好家にも多くのファンを獲得。こうした貢献もあって、2018年Q2のスマートフォン出荷台数では、ついに米アップルを抜き、サムスンに次ぐ世界第2位へと浮上している。

 そのファーウェイが次に打ち出す最新のスマートフォンが、日本ではソフトバンクほかから発売される「HUAWEI Mate 20 Pro」だ。Mateシリーズは同社のスマートフォンのフラッグシップシリーズだが、Proと名のつく本機はその中でも最上位のモデルにあたる。約6.39インチの2K有機ELディスプレイを搭載するほか、最大の特徴は背面にシンメトリーに配置された、LEDライトと3つのライカ製レンズ。40Mの広角(27mm相当、F値1.8)、20Mの超広角(16mm相当、F値2.2)、8Mの3倍望遠(80mm相当、F値2.4)という組み合わせで、超広角から光学3倍、さらにデジタル10倍ズームまで含めると、35mm換算で16-270mmをカバーする計算になる。さらに最大2.5cmまでの接写が可能な、スーパーマクロ撮影にも対応。一眼レフカメラなら何本ものレンズ交換が必要になる幅広い画角を、このスマホ一台でとらえられるというのだから驚きだ。

35mm換算で16-270mmまで、幅広い画角での撮影が可能な「HUAWEI Mate 20 Pro」
35mm換算で16-270mmまで、幅広い画角での撮影が可能な「HUAWEI Mate 20 Pro」
背面には、LEDライトと3つのレンズがシンメトリーに並ぶ。ライカレンズであることを示す記述もある
背面には、LEDライトと3つのレンズがシンメトリーに並ぶ。ライカレンズであることを示す記述もある

超広角から、広角、光学3倍、ハイブリッド5倍、デジタル10倍までこれひとつで撮れる

ワイド0.6倍
ワイド0.6倍
スタンダード1倍
スタンダード1倍
光学3倍
光学3倍
ハイブリッド5倍
ハイブリッド5倍
デジタル10倍
デジタル10倍

後ろに引けないシーンでも、ワイドに残すことが可能。旅先のスナップ撮影などにももってこいだ

スタンダードA
スタンダードA
ワイドA
ワイドA
AIを用いた手ぶれ補正も備え、約2.5cmまでのスーパーマクロ撮影が可能
AIを用いた手ぶれ補正も備え、約2.5cmまでのスーパーマクロ撮影が可能
従来のモデルよりも色味がナチュラルになり、風景を見たままの色で残せる
従来のモデルよりも色味がナチュラルになり、風景を見たままの色で残せる
1/1.7インチと大型のCMOSセンサーを搭載。夜景モードも備えるなど、暗いシーンにも強い
1/1.7インチと大型のCMOSセンサーを搭載。夜景モードも備えるなど、暗いシーンにも強い
背景をぼかしたポートレート撮影も楽しめる。美肌に撮れる「ビューティモード」のレベルは5(最大10)で撮影したもの
背景をぼかしたポートレート撮影も楽しめる。美肌に撮れる「ビューティモード」のレベルは5(最大10)で撮影したもの

 ここに掲載する写真はいずれも、実際に「HUAWEI Mate 20 Pro」で撮影したもの。様々な画角で風景をとらえられているのはもちろん、どのシーンも明るいところから暗いところまで、繊細かつ鮮明に再現されていることに気づくだろう。カメラまかせのオート撮影でこの高いクオリティを可能にしているのは、本機に搭載されているチップセット「Kirin 980」のなせる技。機械学習に特化した処理を行う「NPU(Neural Network Processing Unit)」が内蔵されていて、いわばスマートフォンの中にAIの機能を持っているようなものだ。このAIがレンズがとらえたシーンを自動認識して、個々のシーンにあわせた最適な設定での撮影を可能にしている。

 もう少し詳しくいうと、写っている複数の被写体をそれぞれ個別に認識して最適な設定で撮影し、瞬時にそれらを合成する処理が行われているということ。逆光のようなコントラストの強いケースでも、黒つぶれや白飛びすることがなく広いレンジをカバーできるのも、このチップセットの高い処理能力のおかげというわけだ。またその前提として、スマートフォンでは最大クラスとなる1/1.7インチの大型CMOSセンサーを採用し、より多くの光が取り込めることも重要なポイント。大型センサーと高精細なレンズ、AIを用いたシーン認識や手ぶれ補正、さらにライカならではの絵作りなどがあいまって、スナップ写真をスマートフォンで撮ったとは思えない「作品」の域へと押し上げている。

 なおメインカメラだけでなくフロントカメラも、AIを用いた撮影に対応。背景をぼかした印象的なポートレートや、美肌&美顔撮影のほか、3D認識機能を用いた高速な顔認証も利用できる。さらにこの3D認識機能を使って、立体物をスキャンできるアプリも提供されていて、モデリングした立体物をAR表示することも可能。ロンドンで行われた本機のグローバル発表会では、取り込んだパンダのぬいぐるみのモデリングが独りでに動き出す様子や、ARを用いてそのぬいぐるみと同社コンシューマー・ビジネス・グループCEOのリチャード・ユー氏が一緒に写真を撮る様子などが披露され、大きな話題を呼んだ。

フロントカメラの3D認識機能を使って、立体物をモデリングしアニメーション化できるアプリも提供。ぬいぐるみがスマホの中で動き出す
フロントカメラの3D認識機能を使って、立体物をモデリングしアニメーション化できるアプリも提供。ぬいぐるみがスマホの中で動き出す

 3D認識機能を用いた顔認証のほかに、本機にはもうひとつ、ディスプレイ内指紋認証という新たな生体認証システムも採用されている。指紋センサーがディスプレイの中に組み込まれているというもので、別途独立したセンサーがなくなった分、背面はよりスッキリとしたデザインになり、一方の表面はディスプレイを画面いっぱいまで拡大。画面占有率87.9%の超狭額縁デザインを実現している。そのおかげで約6.39インチという大画面ながら、本体サイズは高さ17.8×幅72.3×厚さ8.6mm、重さ189gとコンパクトに収まっており、片手操作も可能。一方でバッテリーは4200mAhと大容量で急速充電にも対応する。なお本機はワイヤレス給電にも対応するが、おもしろいのが他のワイヤレス給電対応機器へ、電気のお裾分けができること。設定すれば端末を重ねるだけで本機から他機種へのワイヤレス給電が可能になるというもので、大容量バッテリーを活かしたほかにはないユニークな機能といえる。

ディスプレイの中ほどに指紋センサーが搭載されていて、ディスプレイ上の該当個所に触れるとロックが解除される
ディスプレイの中ほどに指紋センサーが搭載されていて、ディスプレイ上の該当個所に触れるとロックが解除される

 また外部メモリーとして、nanoSIMカードサイズのメモリーカード「NMカード」を採用しているのも、本機が初めての試み。ほかにもIP68の防水・防塵対応や、ハイレゾ対応ステレオスピーカーの搭載、外部モニターにワイヤレス接続してPCのように使える機能など、フラッグシップの中のフラッグシップと呼ぶにふさわしい機能を盛りだくさんに搭載。「HUAWEI Mate 20 Pro」は、まさに快進撃を続けるファーウェイの今を象徴する、イノベーションの詰まった一台だと言えるだろう。

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