ロールスロイスやランボルギーニの超カスタマイズ車、富裕層が熱視線

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カリフォルニア州アーバインにあるロールスロイス販売店の責任者、ケリン・ディクソン氏=1月31日/Peter Valdes-Dapena/CNN

カリフォルニア州アーバインにあるロールスロイス販売店の責任者、ケリン・ディクソン氏=1月31日/Peter Valdes-Dapena/CNN

カリフォルニア州アーバイン(CNN) ランボルギーニ、フェラーリ、ベントレー、ロールスロイスといった超高級車メーカーの業績が好調だ。世界経済に何が起ころうとも、超富裕層は増加し、さらに裕福になっているためだ。

ランボルギーニは昨年、販売台数が初めて1万台を突破し、フェラーリも売り上げが17%以上増えた。しかし、わずかな車をごく少数の人々に売って利益を上げるには、これまで以上の創造力が求められる。

その結果、超高級車業界では、過剰とも思える個別のカスタマイズはもはや当たり前になっている。

購入者は、単にメニューから車の内外装の色を選ぶだけでなく、自分のスーパーカーや超高級スポーツ用多目的車(SUV)を地球上のどの車とも異なる外観にすることが可能だ。超富裕層が所有する車の中には、彼らのためだけに10台未満といったごくわずかな台数しか製造されていない車もある。

ランボルギーニ、ロールスロイス、ベントレーの3社は、個別の要望に応えたカスタム車についても記録的な売り上げを記録した。この3社の車は基本価格がすでに高額だが、カスタム車の価格はその倍になることもある。

ランボルギーニの最高経営責任者(CEO)、ステファン・ビンケルマン氏はCNNとのインタビューで、「我々は(市場)規模、(市場)セグメントのどちらも限られている」とし、「だからこそ、我々は個々の車の価値を最大限に高める必要がある」と付け加えた。

こうした超高級車メーカーの顧客は、支出可能な資金が3000万ドル(約45億円)以上あるごくわずかな超富裕層だ。英国のデータ会社アルトラタによると、現在このレベルの超富裕層は世界に約40万人おり、さらに2028年までに52万8000人に増える見込みだという。

カスタマイズされたロールスロイスのSUV「カリナン」車内。真珠のインレイが折りたたみ式のトレーテーブルにはめこまれている/Courtesy Rolls-Royce
カスタマイズされたロールスロイスのSUV「カリナン」車内。真珠のインレイが折りたたみ式のトレーテーブルにはめこまれている/Courtesy Rolls-Royce

オプション販売やカスタマイズに注力

格付会社S&Pによると、昨年、世界の自動車販売は約9%増加した。一部例外はあるものの、最高級ブランド車の売り上げも伸びているが、他の大手自動車メーカーに比べると少なく、ランボルギーニで1万台、フェラーリで1万3000台程度だ。大手自動車メーカーにとっては物足りない数字だが、超高級車メーカーにとってはこれでも大成功と言える。

このように超高級車の販売台数は非常に少ないが、メーカーは販売数を過度に増やしたいとは考えていない。そんなことをすれば、ごく限られた富裕層向けの超高級車ではなくなってしまうからだ。そこでメーカーは、この超富裕層の顧客により高額な機能、オプション、追加装備を販売する方法を拡大している。

手作業による塗装が施されたランボルギーニレブエルトの「オペラ・ウニカ」。完成に435時間を要した/Courtesy Lamborghini
手作業による塗装が施されたランボルギーニレブエルトの「オペラ・ウニカ」。完成に435時間を要した/Courtesy Lamborghini

オプションの販売自体は、自動車業界では特に目新しいことではない。フォルクスワーゲンやフォードといった主流の車でも多くのオプションを付けて販売されることもあり、その傾向は近年高まっている。

しかし、ランボルギーニ、ロールスロイス、ベントレーといった超高級車は、より低価格な車種に比べ、オプションの種類が多く、例えば塗装色や内装材も種類が豊富で、無限にカスタマイズが可能だ。ただ自動車メーカーが、特定の顧客向けに徹底的にカスタマイズした車の具体的な価格を開示することはめったにない。

最も極端な例では、わずか数人の顧客のために1台あたり数百万ドルもする車を作ることもある。

カスタムオプションの拡大

しかし、ランボルギーニのスーパーカーモデルで利用可能なパーソナライゼーションプログラム「アドペルソナム」の顧客が利用できるカスタマイズの種類は、単に長いリストの中から選択するというレベルを超越している。例えば、「ペイント・トゥ・サンプル」をリクエストすると、車体を布、革、塗料のサンプルと同じ色に塗装してもらえる。

例えば、車をお気に入りのシャツと同じ色に塗装してもらったり、宝飾品大手スワロフスキーの人工ダイヤモンドの粉末を塗料に混ぜ込んでもらったりすることも可能だという。

また昨年、ベントレーの顧客のおよそ4分の3が、同社があらかじめ用意しているオプションリスト以外のカスタムオプションをリクエストした。この種のリクエストは、前年から43%も増加したという。同社の幹部によると、これらの高価なカスタムオプションを選択すると、追加費用が約7万5000ドル(約1100万円)に上ることもあるという。

無論、車の価格が高ければ高いほど、オプションもよりぜいたくになり、その結果、総額を押し上げる可能性がある。ロールスロイスは、高級セダン「ファントム」の特別仕様車を開発した。数台限定で、価格は同モデルの基本価格である約50万ドル(約7500万円)の数倍になりそうだ。この特別仕様車には、カスタム刺繍(ししゅう)、複雑な木製のインレイ、エッチングガラス、さらに内装に手描きのデザインが施されている、などの特徴がある。

ブガッティ車も価格が300万ドル(約4億5000万円)以上するので、ブガッティを1台所有するだけでも十分目立つと思うかもしれないが、中にはそれでは物足りないと感じる顧客もいる。

カスタムの装飾が施されたシロンの「ゴールデン・エラ」/Courtesy Bugatti
カスタムの装飾が施されたシロンの「ゴールデン・エラ」/Courtesy Bugatti

ブガッティは昨年、ある顧客のために、金色に塗装した車体に同社のデザイナーたちがクラシックなブガッティ車の歴史上の場面を手描きしたシロンを製作した。また夫婦用にシロンを2台購入した別の顧客からのリクエストで、デザイナーたちは、夫用は青のストライプ、妻用はオレンジのストライプにそれぞれ塗装した。

夫婦のためにカスタマイズされたブガッティの「シロン」/Courtesy Bugatti
夫婦のためにカスタマイズされたブガッティの「シロン」/Courtesy Bugatti

これほどのカスタマイズが可能な一つの理由として、これらの車は大部分が手作りである点が挙げられる。しかし、仮に多くのカスタマイズを行わなくても、ランボルギーニやロールスロイスは発注から納車まで数カ月かかることもある。

それでも、自動車メーカーはある程度、車を生産する上で考慮すべき事柄のバランスを取る必要がある、とランボルギーニのビンケルマンCEOは主張する。

ビンケルマン氏は、「(他の車と比べて)時間がかかることは間違いない」とした上で、「だからこそ、(カスタマイズの)複雑さと、顧客に納車する時期とのバランスを取ることが重要だ。顧客が個別にカスタマイズされた車を購入する機会を増やすために、どこに投資すべきかを社内で継続的に議論している」と付け加えた。

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