現代史上初の危機、首都が「水枯れ」の瀬戸際に アフガニスタン
給水車頼みは教育へしわ寄せ
深い井戸を掘れない市民は民間の給水車か寄付に頼らざるを得ない。
ルスタム・ハーン・タラキさんは収入の30%を水に使っているが、払えない家庭はモスクまで長い距離を歩くしかない。
マーシー・コーのマリアナ・フォンザーンさんは水不足が子どもたちの将来に大きな打撃を与えていると警告する。「子どもたちは本来学校で過ごすべき時間を今は家族のための水くみに費やしている」と指摘。こうした有害な対応によって、女性と子どもの貧困と脆弱性の悪循環がさらに深まるという。

給水車の上に座る少年=4月、アフガニスタン・カブール/Wakil Kohsar/AFP/Getty Images
暗い見通し
気候危機や人口増加、不適切な管理に加えて、カブールの水危機は深刻な政治的混乱によってさらに悪化している。
20年近く続いた戦争の後、21年にタリバンが政権を掌握して以降、開発や安全保障に対する国際支援が凍結され、国は経済崩壊の危機に瀕した。
非営利団体を通じて緊急の必要性に応じて資金を提供し、政府の管理を回避しようとする人道支援が、不足分の一部を補ってきた。だが、米国のトランプ大統領が今年に入って対外援助を停止すると決めたことが追い打ちをかけた。
マーシー・コーによると、水や衛生に必要な2億6400万ドルのうち今年初めまでに供給された資金は約800万ドルにとどまる。米国際開発局(USAID)の資金凍結が「最大の打撃」の一つだという。
カブールに住む人たちの将来は不透明なままだ。
数年前にラヒーラさん一家が現在の地区へ移った当初は、家賃も安くモスクには水があり、生活も何とかなった。
だが、今では、カブールでどのくらい生活していけるのかはわからない。
「再び避難するしか選択肢がない。ここからどこへ行けばいいのか、わからない」