ウクライナ侵攻、中国の潜在的な台湾攻撃戦略を変えず 報告書

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山東省沖の中国軍艦に整列する船員ら=4月25日/Costfoto/NurPhoto/AP

山東省沖の中国軍艦に整列する船員ら=4月25日/Costfoto/NurPhoto/AP

(CNN) 英国のシンクタンク「国際戦略研究所(IISS)」は8日までに、苦戦が続くとみられるロシアのウクライナ侵略が、中国による潜在的な台湾侵攻の「時間的な計算や方法論」のあり方の変更を迫った形跡はないとの報告書を発表した。

中国は、現在の国際秩序にとって「長期的には最たる試練を与え続けている国」とも断じた。報告書は、シンガポールでアジアや太平洋地域諸国の国防、安全保障担当相らが集まって最近開催された「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」を前に公表された。

殲滅(せんめつ)戦の様相も見せる欧州の紛争はアジア太平洋諸国の国防費増大や軍事力を強化する努力をあおる可能性があるとも指摘。同会議ではウクライナ情勢や先鋭化する米中対立などが主要な論点となった。

同報告書は、台湾問題を国内の懸案事項として位置づける中国は武力行使による掌握はウクライナ戦争とは全く異質の事案として判断していると指摘。ただ、中国の軍事政策の立案者らは、ウクライナへの西側諸国の支援が持つ意味合いやロシア軍の稚拙な戦闘能力などの背景要因の分析は進めたと説明した。

その上で、中国が将来のいつかの時点で軍事的に台湾を押さえるのかどうかについての結論を下すのかを見極めるのは不可能との見方も表明。中国の決断は軍事能力の発揮の可否だけでなく、経済的な悪影響を含めた米国や同盟国の非軍事的な反応にも左右されるだろうと見立てた。

「中国が台湾侵攻の時刻表を(内部的に)設けた兆候はない」とも結論づけた。

一方で中国による台湾情勢に関する言動が、日本に中国への懸念の高まりを促す主要な要因の一つになっていることにも言及。

中国は遠洋への艦隊展開を拡大し続けているとしながらも、米国やアジアの主要同盟国による海上防衛戦力を整備する予算的な措置や対応策の増加を踏まえれば、地域的な制海権の争奪では米国などに有利に展開する可能性があるともした。

米国は近年、アジア太平洋海域での中国による威圧的な進出に反発。沿岸諸国・地域による主権論争が長引く南シナ海で中国が軍事化を図る環礁などの領有権を認めず、自軍艦船の航行を繰り返して国際海域内での合法的な行動との立場を強調している。米英豪によるアジアでの安全保障協力の枠組み「AUKUS(オーカス)」の下で豪州の原子力潜水艦保有計画も進められ、中国への軍事的な対抗策の構築も増強されている。

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