習氏、「最悪のシナリオ」に備えよ、国家安全保障担当トップらに通告

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フランスのマクロン大統領との共同記者会見に出席した中国の習近平(シーチンピン)国家主席=4月6日/Ludovic Marin/AFP/Getty Images

フランスのマクロン大統領との共同記者会見に出席した中国の習近平(シーチンピン)国家主席=4月6日/Ludovic Marin/AFP/Getty Images

香港(CNN) 中国の習近平(シーチンピン)国家主席は1日までに、国家安全保障を担当する当局者のトップらに対し、「最悪のシナリオ」を想定しつつ「荒れる海」への備えを進めるよう呼び掛けた。中国共産党は複数の取り組みを強化し、認識されるあらゆる内的及び外的脅威に対抗しようとしている。

習氏は先月30日、党の国家安全保障委員会の会合で「我々が現在直面する国家安全保障上の問題は、格段に複雑かつ困難なものとなっている」と述べた。国営新華社通信が伝えた。

その上で習氏は、現実主義に即して最悪のシナリオを想定しなくてはならないと指摘。厳しい現状を「荒れる海」になぞらえ、「大きな試練に耐える準備を整える」必要があると付け加えた。

中国政府は経済の低迷から一段と敵意の高まる国際環境に至るまで、数多くの課題に直面する。習氏は取るべき対策として、国家安全保障システムとその能力の最新化を加速することに言及。その際注力するのは、実戦での効果の向上だとの認識を示唆した。

また国家安全保障のリスク監視と早期警戒のシステムの構築を推し進める必要性も強調。国家安全保障の教育とデータ管理の質の向上などにも取り組む意向を示した。

習氏は以前から国家安全保障の概念をあらゆる領域に拡大している。それは政治や経済、防衛、文化、エコロジー、サイバースペースまで多岐にわたる。深海から極地、ビッグデータ、人工知能(AI)もそこに含まれる。

習氏が掲げる「包括的国家安全保障」の名目で、中国は大量の法律を整備し、認識し得る脅威から自国を守ろうとしている。具体的には反テロリズム、反スパイ、サイバーセキュリティー、外国の非政府組織、国家諜報(ちょうほう)及びデータセキュリティーに関する一連の法律だ。

最近では、既に広範囲に適用されていた反スパイ法の領域を、国家の機密及び諜報から「国家安全保障と国益に関連するあらゆる文書、資料、品目」にまで拡大した。

長年にわたるチャイナウォッチャーで、中国関連のニュースレター「シノシズム」で記事も執筆するビル・ビショップ氏は、習氏の支配下にある中国では全てが国家安全保障に該当すると指摘。安全保障と発展とのより良い調整に特段注力しているとし、現状では経済よりも安全保障に主眼を置いているように見えると分析した。

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