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民間人撃ったロシア兵、本人不在のまま戦争犯罪容疑で訴追 「人を殺した」の音声傍受

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民間人撃ったロシア兵、「人を殺した」の音声傍受

ウクライナ・イジューム(CNN) 民間人を撃ったとして、ロシア軍の兵士1人がウクライナ警察によって本人不在のまま戦争犯罪容疑に問われている。ウクライナのドローン(無人機)のカメラが異様な襲撃の様子を捉えていた。

ロシア兵に不利な証拠には、兵士とその妻、友人の間で交わされた電話の内容も含まれる。これはウクライナ東部イジューム近郊で昨年6月に起きたロシアの攻撃を捜査する過程で傍受されたものだ。

音声ファイルはハルキウ州で今月21日に行われる訴追発表の記者会見に先立ち、CNNに独占提供された。

兵士はソ連時代の歩兵戦闘車から車を攻撃した後、妻に「きょう人を殺した」と報告。直後に何気ない会話に戻り、妻に「私の電話にいくらか金を振り込んでくれ。いいか」と頼み込んでいる。

兵士は友人との翌日の電話でも、人を殺したことを再び告白している。

警察は兵士の身元をクリム・ケルジャエフ氏(25)と特定。西部軍管区の第1戦車軍第2自動車化狙撃師団に所属していたモスクワ出身の指揮官とみている。罪状は民間人の殺人未遂で、ウクライナ刑法438条の戦争犯罪に当たる。

襲撃の様子はウクライナ兵による空からの映像にも捉えられていた。ウクライナ兵は、小型ドローンに「ついてきて」と書かれた紙を貼り付ける異例の救出作戦を展開。この作戦については、ウクライナの映画監督、リュボミル・レビツキー氏の最近のドキュメンタリーでも取り上げられている。

地元警察によると、捜査内容にはドローンの映像に加え、昨年9月のイジューム解放後に実施した車両や現場の法医学的検証や、兵士のSNSアカウントや携帯電話を調べたサイバー警察による証拠収集も含まれるという。

CNNは報道禁止措置が解除された後、ロシア国防省にコメントを求めたものの、返答はなかった。

地元警察のチームはイジュームの集団墓地で数百人の遺体が見つかった事件など、ハルキウ州だけで数百件の戦争犯罪容疑を捜査しており、本件はその一つに過ぎない。チームには900人以上の捜査員が所属していて、現在の仕事は戦争犯罪に関するものが大半だという。

国際刑事裁判所(ICC)は17日、ウクライナの子ども数千人をロシアに違法移送した疑いで、ロシアのプーチン大統領と当局者のマリヤ・リボワベロワ氏に逮捕状を出した。

「命を落としていた可能性も」

バレリア・ポノマロワ氏とアンドリー・ボホマズ氏の夫妻は昨年夏、ボホマズ氏の年老いた病気の両親がロシア占領下の街から脱出するのを助けようと、車でイジュームに向かった。

その際に道を間違え、ロシア軍の陣取る前線付近に迷い込んでしまい、車が攻撃を受ける結果になった。

付近にいたウクライナ兵は偵察ドローン(無人機)を使い、遠隔でこの出来事を確認。逃げようとする夫婦の姿を捉えようと、さらに現場に近い位置にドローンを派遣した。

動画には2人が車を捨てて逃げようとしたものの、すぐそばに爆発物が着弾したため引き返す様子が映っている。その後再び攻撃があり、ボホマズ氏は重傷を負った。ポノマロワ氏は夫を車の陰に運び、傷口にタオルを巻いて止血しようと試みた。

警察によると、2人の車からロシア軍の拠点までの距離は30メートルほど。ウクライナ兵が2人を助けに入るには危険すぎた。

そこで、ウクライナ兵はドローンを充電した後、機体に「ついてきて」と書かれた白い紙を貼り付けた。ポノマロワ氏を安全な場所まで誘導するためだった。

ポノマロワ氏は、頭上にドローンが見えたが、どちらの機体なのか確信が持てなかったと説明。「振り向いて膝(ひざ)から崩れ落ち、苦悩のあまり悲鳴を上げた」「敵味方、どちらのドローンなのか分からなかった」と後日のドキュメンタリーで振り返った。

最終的に、ポノマロワ氏はドローンを追いかけることにした。負傷した夫を助けるにはそれしかないとの判断だった。

しかしポノマロワ氏が離れた直後、ロシア兵の一団が徒歩で車に近づき、負傷したボホマズ氏の体を持ち上げると、付近の溝に投げ捨てた。

ボホマズ氏は奇跡的に一命を取り留めたものの、襲撃から9カ月たった今も、砲弾の破片で脳や胸、脊椎(せきつい)に負ったけがを治療中だ。

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