バイデン氏のキーウ訪問、プーチン氏から見せ場奪う ロシアの軍事評論家が怒りの声

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バイデン氏の電撃訪問を受け、プーチン氏に対するロシア国内の圧力が高まっている/Contributor/Getty Images

バイデン氏の電撃訪問を受け、プーチン氏に対するロシア国内の圧力が高まっている/Contributor/Getty Images

(CNN) 米国のバイデン大統領による電撃的なウクライナ訪問を受け、ロシアのタカ派に属する多くの軍事評論家から20日、怒りと困惑の声が噴出した。結果的に同国のプーチン大統領に対する圧力が強まる事態となっている。プーチン氏は国民向けの演説を通じ、難航するウクライナ侵攻を正当化する構えだ。

ロシアがウクライナへの全面侵攻を開始して1年の節目が迫る中、バイデン氏の歴史的な現地訪問は、紛争の重大局面を迎えるウクライナ政府に対して象徴的な後押しになっている。

しかしロシアの軍事評論家や超国家主義者らは訪問に激怒。これにより翌日に控えていたプーチン氏の大規模な演説への注目が薄れたとの見方を示唆する。プーチン氏は演説の中で、自ら婉曲(えんきょく)的に「特別軍事作戦」と呼ぶ侵攻について、成果とされる内容を強調するとみられている。

ロシアのジャーナリスト、セルゲイ・マルダン氏は自身のSNSテレグラムのチャンネルで、バイデン氏がウクライナ首都キーウ(キエフ)に入ったことに対し「ロシアにとってのあからさまな屈辱」と主張。また退役軍人で連邦保安局(FSB)の当局者も務めたイーゴリ・ギルキン氏はバイデン氏を単なる挑発だけを得意とする人物と評しつつ、ウクライナ東部の激戦地バフムートを訪れても無傷で帰れた可能性があると指摘した。

ギルキン氏をはじめとする強硬派の軍事ブロガーの多くは、ウクライナでの戦況を再三批判。プーチン氏の下で働く将軍らの戦場での手法について「軟弱」との見方を示す。こうしたブロガーの一部は数十万人のフォロワーを抱えるなど、戦争に関する分析をロシア国民の幅広い層に提供する存在となっている。

ブロガーの多くにとって、安全かつ巧妙に実行された米大統領のウクライナ訪問は、振るわない軍事作戦の姿を改めて象徴する事態と映る。

ロシア陸軍と海軍の要員が運営するあるテレグラムのアカウントには、バイデン氏がプーチン氏より先にキーウを訪問したことに関する皮肉交じりのコメントが掲載された。「特別軍事作戦の開始から1年近く、我々がロシアの都市(キエフ)で待っているのはロシア連邦の大統領だ。米国の(大統領)ではない」というのが、その内容だ。

CNNはクレムリン(ロシア大統領府)に連絡を取ったが、これまでバイデン氏の訪問についてコメントは出ていない。ただメドベージェフ前大統領はテレグラムの声明で、米国のウクライナに対する支援によって戦争があおられていると非難。これまで西側がウクライナ政府に向け大量の武器と資金を定期的に引き渡してきたことで、北大西洋条約機構(NATO)諸国の軍産複合体は利益を上げ、世界中のテロリストへの武器の横流しも可能になっていると指摘した。

現在ロシアの国家安全保障会議副議長を務めるメドベージェフ氏は、好戦的な意見表明を通じ自身の国家主義者としての信用強化を図ることで知られる。

プーチン氏は21日に連邦議会で大掛かりな演説を行う予定。そこで現行の侵攻について議論するとみられる。「特別軍事作戦」の複数の参加者がその場に出席する予定だが、他国からの来賓や代表者は招かれていない。クレムリンの報道官が20日、記者団に明らかにした。

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