リマン退却の原因は兵員不足、劣る連絡態勢に誤判断 ロシア紙

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リマンで写真撮影をするウクライナ軍兵士=1日/Oleksiy Biloshytskyi/Reuters

リマンで写真撮影をするウクライナ軍兵士=1日/Oleksiy Biloshytskyi/Reuters

(CNN) ロシアの政権寄りタブロイド紙は6日までに、ウクライナ東部ドネツク州の要衝リマンからのロシア軍の退却に関連し、兵員不足、貧弱な連絡系統や司令官の判断ミスが決め手になったとの暴露記事を掲載した。

現場のロシア軍の同行取材に当たっていた同紙「コムソモリスカヤ・プラウダ」の記者による執筆で、ウクライナ軍に「包囲されるリスクや屈辱的な捕虜となる可能性が非常に大きかった」ことを受け、司令官は撤退を決断したと指摘。

リマンの住民はCNNの取材に、ロシア軍は先月30日の遅い時間帯から撤収を開始したと明かした。ロシアのプーチン大統領は同日、ドネツク、ルハンスク両州から成るドンバス地方の併合宣言を祝福してもいた。

記者は当時のロシア軍部隊内の空気にも触れ、「全てがいつものごとくであった」と感じていたとも説明。異なる部隊の間に適切な連絡もなく、「誰もが隣りの陣地で起きていることを知らなかった」とも主張。「複雑な伝達システムを通じて砲撃の支援を求めたとしても時間がかかり、その間に標的は消え去っていた」とも伝えた。

「今回のロシア軍の撤兵の理由は典型的なものでもあった」とし、「十分な兵員が手元に準備されず、防御線の構築が必要な時に司令官が判断を誤るものだった」ともつけ加えた。

さらに、戦闘参加を拒否し、戦場を離れた従軍契約の兵士の「いわゆる500人たち」の存在にも言及。後手に回った予備役の投入も撤退の要因になり、地上部隊の間の戦術調整の不足や情報収集に必要な先端的な装備が欠けていたことも原因になったと断じた。

リマンからの撤退を受けロシア国内でも連邦議員らが軍指導部を批判する動きが出た。第58軍司令官も務めたこともあるアンドレイ・グルレフ下院議員は今回の「投降」は軍事的観点から説明出来ないとの不満を表明。

政権支持の姿勢を示す地元メディアの取材に、撤収に至った状況を正確になぜ見極められず、兵員の補充もしなかったのか明確でないと指摘。軍事的だけでなく特に現段階では政治的にも重要な局面でもあり得るとし、問題点は全般的なうそが広がっている状況や、良好な戦況を知らせる報告であると主張。「このシステムが上から下まで広がっている」と説いた。

一方、同じくコムソモリスカヤ・プラウダ紙の記者は5日、東部ルハンスク州でウクライナ軍のさらなる進撃を封じ込むために必要な兵員をロシア軍は保持していないとも伝えた。

4日夕時点での報告で、この記者はロシアが占領する同州スワトベ市でロシア軍の同行取材に当たっている。記者はSNS上に載せた映像で、ロシア軍は敵の攻撃を阻止し得る十分な人的資源を持っていないと主張。

ロシア軍の最近の後退もこのことが直接的な要因であり、現時点で前線は非常に困難な時期にあるとも説明した。

「激戦がすぐに予想される」とし、「ウクライナ軍の前進を止めるられるのかは不明のまま」とも述べた。ウクライナ軍は兵力を集積させ、スワトベを2方向から攻撃する態勢を敷いているという。「ウクライナ軍の士気などは高く、兵員や装備でも数字的に有利な情勢にある」とも話した。

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